前受金依存度の高い業種 1位は「衣装レンタル」 前受金ビジネスの法的整備が急務
負債前受金比率50%以上は1%未満
2022年10月期から2023年9月期の28万4,575社を抽出し、総負債に対して前受金の占める比率(以下、負債前受金比率)を算出した。 前受金を計上している企業は5万1,678社で、全体の約2割(構成比18.1%)を占めた。 内訳は、負債前受金比率50%以上の企業が1,259社(同0.4%)、50%未満が5万419社(同17.7%)だった。 前受金を中心に資金調達を行い、事業を展開している「前受金ビジネス」の企業は全体の1%未満にとどまる。 前受金を計上していない企業は23万2,897社で、全体の8割超(同81.8%)を占めた。 前受金は、対価となるサービスや財(商品)の提供前に代金を受け取るシステムで、キャッシュフローの観点では効果的な方法だ。だが、その利点だけに目を奪われず、実態は自分の資金でないことを認識した運営が必要になる。
産業別 負債前受金比率50%以上の構成比トップは情報通信業の2.0%
産業別で、前受金の有無と負債前受金比率別で社数の構成比を算出した。 10産業のうち、前受金を計上した企業の構成比が最も高かった産業は、不動産業で51.3%(6,260社)だった。不動産業は、売買契約の際、手付金や前受賃料などが前受金に計上されることから構成比が唯一、5割を超えた。 次いで、情報通信業35.5%(2,728社)、小売業28.8%(3,418社)、卸売業26.8%(7,031社)と続く。 負債前受金比率50%以上の構成比が最も高かった産業は、情報通信業で2.0%(154社)だった。情報通信業は、一定期間の利用・保守サービスやサブスクリプションサービスなどが事業収益の中心となることが多い。 次いで、金融・保険業1.5%(27社)、サービス業他0.6%(333社)、不動産業0.39%(48社)と続く。10産業のうち、負債前受金比率50%以上の企業が産業全体で1%を超えたのは、情報通信業と金融・保険業の2産業のみだった。