JALマイルのキーマン 「上級会員特典、獲得できる利用の目安は…」
2024年2月2日発売の「日経トレンディ2024年3月号」 では、「得する!ANA&JAL最新旅行ワザ」を特集。2023年から特典航空券の制度改定や新アプリのリリース、上級会員制度の刷新など、新機軸を打ち出している日本航空(JAL)。根底にはどのような思想があるのか。マイレージやライフスタイル事業を統括する、JAL執行役員の大森康史氏に聞いた。 ※日経トレンディ2024年3月号より。詳しくは本誌参照 【日本航空 執行役員 マイレージ・ライフスタイル事業本部長 大森康史氏】 1965年生まれ。92年日本航空入社。戦略会議付プロジェクトチームマネージャー、欧州・中東地区支配人室旅客・国際グループ長、人事部グループ人事企画グループ長などを経て2021年より現職 ──23年4月に国内線で導入した「特典航空券PLUS」は当初、賛否両論でした。どう見ていますか。 確かに、当時はSNSなどで「予約変更できず利便性が下がった」「必要マイルが増えた」という声はいただきました。 しかし、利便性を徐々に実感していただけたことで、最近では好意的な反応や意見を多くもらっています。例えば、23年10月に年末年始の羽田―札幌線の特典航空券を取ろうとした場合、ピーク日は2万マイル前後必要でしたが、どの混雑便でも予約可能でした。従来でしたら特典航空券として交換不可能だったはずです。実際、特典航空券PLUSの導入前に比べ、国内線特典航空券での搭乗者数は1.4倍に増えました。 ──23年3月にスマホ決済サービス「JAL Pay」を開始しました。 フライトだけでなく、日常生活でもマイルの接点を増やす「JALマイルライフ」を推進してきました。JALカード以外の決済手段として、JAL Payの整備は重要でした。23年11月に開始した「JALマイレージバンクアプリ」も同様です。JAL Payをはじめ、マイル関連サービスをワンストップで使えるアプリの存在は、中核的な役割として欠かせません。 一方で、23年5月のショッピングモール「JAL Mall」など、生活でマイルが“自動”でたまるサービスの拡充にも取り組んできました。特に保険でマイルがたまる、同9月の「JALの保険」は、ハードルが高かったのですが、日本の航空会社で初めて実現できました。 ●日常でJAL利用の多い人が上級会員になれるように ──そうした流れを経て行った、24年1月の上級会員制度刷新は大反響を呼びました。狙いは何ですか。 日常的にJALグループのサービスを利用していただくことを推進する中で、上級会員制度は「大切なお客様」にしっかり向き合える制度であるべきです。しかし、従来の「FLY ON プログラム」は、1年間の搭乗実績に応じてのみ、翌年度のステータスが決まる仕組みでした。 そこで開始に踏み切ったのが、「JAL Life Statusプログラム」です。搭乗実績に加え、JALカードやJAL Pay決済など非航空分野での利用実績も、上級会員資格の判断基準の対象としました。 ──JAL Life Statusプログラムは、年間ではなく生涯の搭乗回数・マイル積算数を基準としています。 搭乗頻度はそう多くなくても、長年JALを利用してくださっているお客様も大事にしたいですし、上級会員になっていただきたい。これも新たな上級会員制度導入の狙いです。過去の搭乗実績はポイント換算して初期加算しますので、ずっとJALユーザーで、定期的に海外旅行をしているような方なら、いきなりJGC会員になることもあり得るプログラムになっています。