4000万円超のフェラーリで北海道の雪道をドリフトした!!! 超高級スーパーカーの冬季性能に北海道で迫る
大谷達也が、フェラーリ「488チャレンジ」を操って北海道の雪上をテストドライブした! 【写真を見る】雪道を駆け抜けるフェラーリはこちら!!!
安心かつ安全にスキルアップ
これまでにもいろいろなスポーツカーやラグジュアリーカーで雪上/氷上走行を経験してきたけれど、考えてみれば、フェラーリで雪や氷の上を走ったことはない。しかも、試乗車として用意されるのは、先ごろ発売された4WDモデルの「プロサングエ」ではなく、ワンメイクレースのフェラーリ チャレンジで用いられる「488チャレンジ」という。 そんな、オンロード走行専用のレーシングカーで(氷上を含む)雪上走行する意味はどこにあるのか? フェラーリのオフィシャルインストラクターとしてフェラーリ チャレンジの運営にも関わっているレーシングドライバーの檜井保孝に教えてもらった。 「フェラーリ チャレンジに参戦するドライバーの皆さんに、もっともっとスキルを高めていただいて、安全にレースを楽しんで欲しいというのが第一の理由です。それに、雪や氷の上ではクルマの限界が低くなるので、より低い速度域でテールスライドのコントロールを練習することができ、安心かつ安全にスキルアップを図れることも理由のひとつです」 しかも、このイベントで用いられる488チャレンジには、特別なセッティングが施されているという。たとえば車高を上げることによって、雪で“アゴ”を擦らないようにしたほか、空気の力でクルマを路面に押しつけるダウンフォースも最大値にして安定性を確保。さらに、ロール(コーナリング時のボディの傾き)を抑えるスタビライザーという、レースでは必須のサスペンションパーツを敢えて外すことで、雪上でのグリップ力を最大限に高めているそうだ。 それらにも増して重要なのがタイヤのチョイスである。 いまでは雪や氷の上を走るときはスタッドレスタイヤを装着するのが常識だが、かつてはスタッドタイヤといって、タイヤの表面に金属製の鋲を打ったものを用いるのが一般的だった。このほうが雪や氷を捉える力は格段に高まるのだけれど、アスファルト上をスタッドタイヤで走行すると粉じんが発生し、これが健康被害を招くとして公道をスタッドタイヤで走行することは法律で規制されている。 ただし、しっかりと管理された雪道や氷上路を走る限り、こうした粉じん問題を起こすことはないので、ヨーロッパの一部の国では、いまでもスタッドタイヤの使用が認められている。そして、“フェラーリ チャレンジ オン アイス”という名が与えられた本イベントでも、雪や氷の上だけを走る前提でスタッドタイヤを使用しているのである。 私は以前にもスタッドタイヤで氷上を走ったことがあるが、その性能は、スタッドレスタイヤとは大違い。特に違いが顕著なのは、氷上でタイヤが滑り始めてからの挙動で、一度滑り始めるとなかなかグリップが回復しないスタッドレスタイヤと異なり、スタッドタイヤはテールスライド中もドライバーの操作を受け入れてくれるほか、グリップの回復がスタッドレスタイヤに比べてはるかに早い。言い換えれば、滑り始めてからの特性が夏用タイヤで舗装路を走っているときの感覚に近いので、これで練習することで効果的かつ効率的にクルマのスライドコントロールを学ぶことができるのだ。