玉ねぎを切ると涙が出るのはナゼ? 泣かないためにできること
※この記事は、海外のサイト『delish』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 さまざまなレシピの味を作り出すうえで、玉ねぎは重要な役割を担うありがたい存在。スープやシチューの香り豊かなベースに使ったり、飴色に炒めて自然な甘みを引き出したり、ピクルスにした玉ねぎを爽やかでシャキシャキのサイドとして味わったり、玉ねぎは私たちの食生活をさまざまな形で支えてくれる。 実用的な観点からも、キッチンに玉ねぎを常備しておくととても便利。値段も手頃で長く保存できる玉ねぎだけど、切るときに涙が出るという大きな欠点が一つだけある。 玉ねぎを切ると涙が出るのは、避けがたい不都合なこと。1個でもそれ以上でも、まな板で玉ねぎを切ると最終的に涙を流すことになる。ツーンと目にしみるような感覚が不快なせいで、玉ねぎを切ることはあまり楽しい作業とはいえない。でも、そもそも玉ねぎを切ると涙がでる原因って何なの? 避ける方法はある? 保健学博士、食品科学者で、ドレクセル大学の教授でもあるローズマリー・トラウト博士に、玉ねぎに関するあらゆる謎を明らかにしてもらった。
玉ねぎで涙が出る理由
玉ねぎを植物界のスカンクと考えてみよう。玉ねぎは自衛の手段として刺激臭を出すだけで、放っておけば刺激臭を出すことはない。玉ねぎとそのほかのネギ属の食品(エシャロット、リーキ、にんにくなど)には催涙因子と呼ばれる生化学反応があり、動物の捕食者や微生物、ただ夕食を作ろうとしているだけの人間を追い払う効果がある。 玉ねぎは根菜なので、土壌から硫黄を抽出し保護作用のある催涙刺激性の化合物を生成することができる。「玉ねぎを切ると、無傷の玉ねぎ内で別々に保存されていた酵素とこれらの化合物が混ざり、揮発性の化学物質が形成されます」とトラウト博士は説明する。 これらの化学物質(硫化水素、二酸化硫黄、硫酸)は、高濃度で浴びると危険な場合がある。ただし、玉ねぎを切ったくらいでは深刻な健康リスクを引き起こすほどの量の化学物質は放出されず、涙が出るだけなので安心して。玉ねぎに含まれる化学物質は「私たちの目、鼻、喉、口の感覚細胞を刺激し、脳に痛みの信号を送り、最終的に目から刺激性の化学物質を洗い流そうとして涙が出るのです」とトラウト博士。