飲食店の倒産が過去最多…すき家、大戸屋の運営元が“逆境下でも業績好調”なワケ
2位以下の企業も業績好調
単一業態で外食売上ランキング2位のマクドナルドは、売上は首位ゼンショーの半分以下の3819億円だが、営業利益は408億円(10.7%)とかなりの高収益率である。財務状態を見ても自己資本比率がゼンショー(28.2%)に対して72.8%と高く、資本の安定性に大きな開きがある。 すかいらーくは売上3位に留まっているが、今年(2024年1-3月期)に入って売上高956億円(前年比+110億円)、営業利益61億円(前年比+65億円)と好調だ。外部環境の好転に加え、メニュー戦略、店舗オペレーション、DX推進を中心に成長基盤が整いつつあるようだ。非上場化して抜本的改革を実行した結果が実績に表れつつある。 スシローは回転寿司業界のリーダーで、売上推移を見ると2019年は1990億円だった売上が2023年には3017億円と順調に増加しており、5年間で売上を1027億円(151.6%)増やしている。2024年上半期(10月~翌年3月)で売上118.7%、客数115.6%、客単価102.6%と全てにおいて前年を上回っており、第3四半期(4~6月)も売上110.1%、客数111.0%と前年2桁超えを達成している。 ゼンショーと同じく、「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋ごはん処」など多業態戦略を展開するコロワイド。売上2412億円(前年比109.3%)、営業利益87億円(前年比110.7%)と成長している。
ゼンショーとコロワイドの共通点
ゼンショーとコロワイドは共にM&Aを積極的に行い、規模を急速に拡大している。ゼンショーは2000年以降、各ジャンルの外食企業の買収を始めている。コロワイドも2012年以降から、「牛角」などを展開するレインズなど外食大手を次々と買収している。 両社とも借入金など他人資本を巧みに活用し、少ない自己資本で最大の利益を目的にROEを向上させている。自己資本の低さから、財務の安定性としては若干の脆弱感は否めないが、早期リターンを求める投資家や株主の期待に応えている。 特にゼンショーはすでにその目的を達成しつつあり、ROEは14.3%と高く、M&Aで買収した外食企業が業績にも貢献してきている。一般的にROEは10%以上であれば良好とされる。ROEは業界によって適正値が異なるが、飲食・サービス業は10%が理想とされ、ゼンショーはその目標値の達成に向け頑張っているようだ。