中国発の激安EC「Temu」、急成長持続に不安と期待 運営母体「拼多多」の株価がナスダックで乱高下
そんな中、株価の変調は唐突に訪れた。拼多多が8月26日に発表した2024年4~6月期の決算で、売上高の伸び率が前年同期比85.65%に減速。アナリストの事前予想を下回ったために投資家の落胆を招き、株価が急落したのだ。 それだけではない。4~6月期の決算説明会では、拼多多の董事長兼共同CEO(会長兼共同最高経営責任者)を務める陳磊氏から予期せぬ弱気の発言が飛び出し、投資家の狼狽売りに拍車をかけた。
「拼多多を取り巻く経営環境は急速に変化しており、(業績変動の幅が大きくなるような)不確実性が増した。わが社が直面する競争は激しくなる一方だ」 陳氏はそう前置きしたうえで、「これまでのような急成長は持続不可能であり、(競争が激化する中で)利益率の低下傾向は避けられない」と述べたのである。 ここで言う経営環境の変化には、Temuに代表される中国発の越境ECサービスに対して、進出先の複数の国々で風当たりが強まっていることが含まれる。外国政府による保護貿易主義の台頭は、Temuの将来を左右する最大級のリスクと言っても過言ではない。
■関税の「抜け穴」利用に批判 「中国企業が海外で製品を販売する場合には、直売よりも(地場の流通業者を介在させる)卸売りのほうが相対的に安全だ。なぜなら、直売方式は現地の人々の雇用を奪うことになりかねないからだ」 ある機関投資家は財新記者の取材に対してそう述べ、Temuのような直売方式の越境ECサービスは保護貿易主義の影響を受けやすいと指摘した。 例えばアメリカ議会の議員たちは、個人宛て小口貨物の関税を免除する特例措置をTemuが「抜け穴」として使い、莫大な関税を回避していると批判している。これを受けて、アメリカのバイデン政権は2024年9月、特例措置を見直すと発表した。
こうした逆風が強まる中、Temuは今後も成長を維持できるのだろうか。最近の株価の回復を見る限り、市場は短期的には楽観視しているようだ。 「進出先の雇用や利益に配慮し、保護貿易主義の影響を抑えることができれば、さらなる成長を疑う余地はない」。前出の機関投資家はそう述べ、Temuは今後の成長戦略を慎重に進めると予想した。 (財新記者:包雲紅) ※原文の配信は10月11日
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