実はこんなにインテリアを自由に変えていた「家具付き賃貸ビフォーアフター」日本とまるで違うヨーロッパの物件事情【パリ在住・井筒麻三子】
人気YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」のMamikoこと井筒麻三子さんが、パリでの家探しや新しい暮らし方を綴ります。 【室内画像】可愛さが全然違う...Mamikoのパリの家具付き賃貸ビフォーアフター! 日本ではあまり馴染みがないが、ヨーロッパでは賃貸物件というと、家具家電付きで貸し出されることも多い。家具付きとは、ベッドやテーブル、TVに冷蔵庫といった生活に必要なアイテムが備わっている賃貸物件のこと。当然、家具なし物件より家具付きの方が家賃は高めなのだけれど、引っ越してからすぐに支障なく生活が始められるので、学生だったり、短期滞在の場合はとてもありがたいスタイルだ。 フランスの場合は、日本のウィークリーマンションのように高額でもないし、大家さんにもよるが、現状復帰さえできればある程度のインテリアを変えることもできる。実際、8年住んだ我が家も家具付き物件だったけれど、壁に棚を取り付けたり、テーブルをどかしてみたりと(捨てるわけにはいかないので、倉庫に入れたけれど)、割と好きにさせてもらえた。 とはいえやはり、人が選んだ家具や家電での生活は、仮住まい感が強い。それも大体の場合、人に貸すためだけに選ばれるアイテムは、機能さえすれば良いという感じでチープなものがほとんど。パリで最初に住んだ家などは、10年前のこととはいえ、TVがブラウン管でびっくりした。しょっちゅう映らなくなるので、バンバン叩くと画面が戻ったりする。昭和か! とTVを観るたびつぶやいていたほどだった。
だからこそ、「次に引っ越すなら絶対に家具なし!」と思っていたけれど、フランスでは家具なしというと、それこそガス台や洗面台もないことがある。家という箱だけあって、それ以外はお好きに調達して下さい、という感じ。賃貸なのにそんな基礎まで買うのはなあ……。その点もまた、引っ越しをずっと躊躇していた理由だった。 新しく引っ越した先は、もともと大家さんのお母様の家だったそうで、内見の際は、大きな飾り収納棚やベッド、タンスなどさまざまな家具がまだ残っていた。大家さん的には、そのまま家具を残して家具付きで貸し出した方が楽だし、家賃も高め設定にできたと思う。 でも私たちが長いこと店子を続けていたよしみなのか、「家具は要りません」というと、全て撤去に応じてくれた。それも、キッチンのガス台やオーブンなどの電化製品は備え付けがすでにあり、冷蔵庫と洗濯機は買い替えてもらえることに。おかげで、基礎的なものは買わなくて済み、それでいてソファやベッドなど、好みを反映したいインテリアアイテムは自分たちで買えることになった。 全てを賄わなくて良くなったとはいえ、当然それなりのお金はかかる。現実的で財布の紐が硬い夫は、「飛ぶようにお金がなくなるなあ」と毎日ブツブツ言っているほど。それでも私は、好きな家具を揃え、自分らしいインテリアを作れるのだという思いに、今ものすごくワクワクしている。 撮影/Yas
井筒 麻三子