スズキの若年向け最新戦略 世界900万台販売「スイフト」が4代目に
世界累計販売台数900万台のスズキ「スイフト」が4代目へと進化した。コンパクトハッチバック車としては、競合他社より若い世代の心をつかんだ同車は、歴代モデルの良い点は継承しつつ、課題だった先進機能の強化によって完成度を高めた。街中や高速道路、峠を走ってみると、新型スイフトの本当の魅力が浮かび上がった。 【関連画像】エクステリアは若々しいデザインに仕上がり、ブルーなど華やかな色を外装で選べる スズキのコンパクトハッチバック車「スイフト」が、4代目にフルモデルチェンジを果たした。スイフトは、スズキの登録車ではコンパクトハイトワゴン「ソリオ」に次ぐ国内販売台数を誇る。その本領は世界で発揮されており、2004年の初代発売以降、世界累計販売台数は約900万台にも及ぶ。まさにスズキの顔といえるモデルなのだ。 7年ぶりに刷新された最新モデルは、母国である日本市場へ世界に先駆けて投入された。「エネルギッシュ×軽やか 日常の移動を遊びに変える洗練されたスマートコンパクト」をコンセプトに、歴代モデルが培ってきたデザイン性や走行性能に加えて、安全装備や利便性の高い装備を充実させた。 ●先代ユーザーの平均年齢「44.8歳」を武器に若者世代を狙う 最新モデルは、歴代モデルの正常進化版といえる。伝統の一つが、若い世代をターゲットの軸に据えたクルマづくりだ。 先代スイフト(スイフトスポーツを除く)の購入者は、平均年齢が44.8歳。これは、他社の競合車と比べて約10歳若いという。そのため、購入者に決断の理由を尋ねると、多くが「スタイル・外観デザイン」「走る(運転する)楽しさ」「足回りの良さ」を挙げる。 逆に不足だと指摘する声として多かったのが、「安全運転を支援する機能」「運転を楽にする機能」「コネクテッドサービスが使える」の3点。つまり、安全機能を含めた先進機能だ。そこで最新モデルは、歴代モデルの良さは受け継ぎつつ、先進機能を強化している。 特徴を見ていこう。まずはデザインだ。先進的で走りの良さを表現したというエクステリアは、先代よりもスポーティーさはやや薄めの味付けにとどまる。先代では、風の流れを感じさせるような丸みを帯びたデザインや尻下がりのルーフライン、後部に向かい引き締められるサイドガラスなどが特徴だった。スポーツカーのようなデザインだったが、最新モデルでは車幅が広く、重心が低く感じるように、前後ライトのデザインやフロントグリル、ボディーサイドのキャラクターライン、ガラスエリア、ルーフラインを工夫している。 新デザインでは、フレッシュで若々しく、軽快な動きを連想させる。一方で、どっしりとした安定感もある。この背景には、購入検討者の中に「先代スイフトだと、見た目がスポーティー過ぎて、自分のクルマには合わない」という声があったからだという。スポーティーなハッチバックを目指しながらも、そのキャラクターを否定している点は正直少々疑問に感じるものの、多様化する消費者の嗜好の変化を意識したようだ。 ちなみにボディーサイズは、全長こそプラス15ミリメートルの3860ミリメートルとなったが、全幅は1695ミリメートル、全高は1500ミリメートル(前輪駆動仕様の場合)、ホイールベースも2450ミリメートルと、先代と変わらない。 もともと定評があった走り良さを生む基本性能はどうか。こちらは、先代から採用しているプラットフォーム「ハーテクト」に、高い操縦の安定性と快適な乗り心地を両立するサスペンションを採用している。いずれも改良を加えており、さらに磨きをかけている。 エンジンは、新開発の自然吸気仕様の1.2リットル直3DOHCエンジンに一本化した。最高出力は60キロワット(82PS)、最大トルクは108ニュートンメートル(11.0キログラムメートル)と、実用的なスペックとなっている。上位グレードは簡易式のマイルドハイブリッド化により、最も燃費に優れた仕様で25.4キロメートル/リットル(前輪駆動車、マニュアル車の場合)という低燃費を実現している。 先代で課題だった先進機能については、安全機能ではスズキ最新式となるミリ波レーダーと単眼カメラを中心に構成される「デュアルセンサーブレーキサポートII」にアップデート。センシング機能の向上によって検知エリアを拡大しており、また機能の向上も図っている。さらに、コネクテッド機能としては、車載通信機による「スズキコネクト」に対応し、ディスプレーオーディオも採用している。