自民衆院議員、自らのSNS投稿で“交通違反”発覚…拡散された“スクショ画像”に「証拠能力」はある?
自民党の武井俊輔衆院議員は5月25日、党宮崎県連の定期大会で「信頼を回復出来るよう全力で取り組む」と謝罪した。 元の投稿は削除されているが、現在もスクショが拡散されている 武井議員をめぐっては、4月28日に秘書が運転し、自身も乗っていた車が制限速度を約30km上回る時速91kmで走行した疑いがあることがSNS経由で発覚。5月2日に会見で陳謝していた。
車関係で過去にも2度トラブル
同議員の事務所による車関係のトラブルは3度目。過去には私設秘書による飲酒運転衝突事故と、公設秘書による車検と自賠責保険切れの状態での当て逃げ事故が起こっていた。 今回の一件では、武井議員がXで車内の様子を投稿しており(現在は削除)、その画像に車の速度計が映っていたことから、速度違反を指摘するユーザーが現れ、情報がスクリーンショットなどとともに拡散された。
スクショは「証拠能力あり」だが“証明力”は…
元検事で、交通事件の経験が豊富な若佐一朗弁護士は「私が検事をしていた頃にはSNSも発展していませんでしたし、このような問題はありませんでした」としつつ、本件のポイントについて解説する。 「武井議員の投稿からは時速91kmで走行していたことが伺えます。この画像には道路交通法違反事件との関連性がありますし、違法に収集された証拠でもないので、証拠能力はあるでしょう。 ただ、武井議員が自ら『道路交通法違反事件があった』と主張し立件を望むとは考えられません。ですので、この投稿を見た人が、それをスクリーンショットなどで保存し、警察に提出した場合の“証明力”が問題になります」 「証拠能力」とは、その資料が刑事訴訟において採用できるものかどうかの資格。よって、刑事訴訟の場において証拠と認められるには、まず証拠能力を備えていることが求められる。 一方で証拠能力が存在することを前提に、その証拠がある事実を証明するにあたってもつ推認力を「証明力」と呼ぶ。 「画像処理技術の進化を考えると、投稿画面のスクリーンショットとされる画像が、武井議員による投稿画面と同一であることを立証する必要があります。 また、画像内で『時速91km』と表示されていたからといって、実際に時速91kmで走行していたといえるのかという点についても考慮する必要があります。本件では、警察官が実際にその事実を確認しているわけではないため、画像だけで速度超過を認定できるほどの証明力はないと思います」(同前)