「最後の1人まで」イスラエルで続く解放の祈り、訪日した元人質ノア・アルガマニさんの証言
ノアさんの父ヤコブさん(69)は2023年12月、人質解放を訴える使節団の1人としてイスラエルから訪日していた。そして2024年8月20~22日、今度は救出された娘ノアさんと一緒に来日した。日本政府のこれまでの支援に感謝するとともに、残る人質の解放支援を引き続き訴えるためだった。 アルガマニさん親子は、日本の上川陽子外相をはじめG7各国大使や日本イスラエル友好議員連盟、拉致議連の国会議員などと会談した。
筆者は、ほんの数時間だったが、訪日中のアルガマニさん親子に同行する機会を得た。彼らの訪日がほとんど報道されなかったのには、当事者にとって現在進行形のセンシティブな事案のため、マスコミに自制を要請したという背景がある。 ノアさんが無事に生還して真っ先に向かったのは、闘病中の母リオラさんのところだった。意識が朦朧とする中、8カ月ぶりに再会したノアさんの顔を見て、リオラさんの目は喜びに輝いたという。 ノアさんが生還した約3週間後、リオラさんは帰らぬ人となった。享年61だった。闘病しつつ拉致された娘をひたすら待ち続けていた母親の心情は、いかばかりだったろう。
ヤコブさんは、娘が帰ってきた喜びの一方、妻を亡くした喪失感にじっと耐えているようだった。それでもなお、今もガザで拉致されている同胞のため、愛娘を連れて遠く日本を再訪し、人質解放を訴えたのである。 ■囚われた人々の贖い ヤコブさんは信仰の篤い人だった。日本ユダヤ教団のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で行なわれた会の最後、ヤコブさんが自ら「人質解放の祈り」を捧げられたのが印象的だった。その祈りとは以下のような内容である。
私たちの神、私たちの先祖の神、主よ 私たちの同胞、イスラエルの家族、囚われ人のために 私たちの祈りを通してあなたの御心が成就し 彼らを強め、守り、保護してくださるように 祝福された聖なるお方が、彼らを憐れみで満たし あらゆる困難と苦悩、疫病と病気から守ってくださるように 彼らの手で為されるすべての業に、祝福と幸運を送り 暗闇と死の陰から彼らを導き出し 速やかに家族のもとに帰らせてくださるように、アーメン 苦難の中にいる私たちの同胞