“誕生月”で「インフルエンザ」のかかりやすさが変わる!? ハーバード大が幼児81万例を調査
乳幼児へのインフルエンザワクチン接種への考え方は?
編集部: 乳幼児へのインフルエンザワクチン接種への考え方について教えてください。 山田先生: 2004年に日本小児科学会が出した見解では、「1歳以上6歳未満の乳児については、インフルエンザによる合併症のリスクを鑑み、有効率20~30%であることを説明した上で任意接種としてワクチン接種を推奨することが、現段階で適切な方向であると考える」という考え方が示されています。高齢者と同様に乳幼児もインフルエンザの感染リスクが高いと位置付けられており、学会の見解では、「乳幼児を取り巻く家族や学校職員なども接種を実施して、感染の機会を減らすことが大切である」としています。また、重篤な合併症の報告はされておらず、「あるとしても極めて稀な範囲であると考えられる」とも記載されています。なお、基礎疾患を有する乳幼児について、インフルエンザ感染で重症化することが容易に予測されるような場合においては、インフルエンザワクチン接種は健康乳幼児より強く勧められることも示されています。
今回の研究内容への受け止めは?
編集部: ハーバード大学らの研究グループ発表した研究内容への受け止めを教えてください。 山田先生: はじめは「誕生月が関係する?」と戸惑いましたが、「インフルエンザワクチンの接種時期は、10月生まれの子どもたちが健診と一緒に接種される10月が最も感染予防効果は高かった」ということですね。日本でのインフルエンザワクチンの接種は基本的に毎年10月に始まるので、接種シーズンが始まったら早めに予約して接種におこなった方がいいということだと思います。それにしてもユニークな研究ですね。
編集部まとめ
アメリカのハーバード大学らの研究グループは、「夏から冬に生まれてインフルエンザワクチン接種を受けた幼児を対象に、誕生月ごとのインフルエンザ診断率を調査した結果、インフルエンザ診断率は10月生まれの子どもが最も低かった」と明らかにしました。日本でも多くの人が罹患するインフルエンザについての調査は、今後も注目を集めそうです。
【この記事の監修医師】
山田 克彦 先生(佐世保中央病院) 大分医科大学(現・大分大学)医学部卒業。現在は「佐世保中央病院」勤務。専門は小児科一般、小児循環器、小児肥満、小児内分泌、動機づけ面接。日本小児科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医。