「今はこのありさま」 神戸市ポートアイランド、人口減少・住民高齢化で大ピンチ! 魅力あるまちづくり模索も“鉄道輸送力強化”は霧の中
街の魅力向上へ今秋に実証実験
神戸市は2022年度から「ポートアイランド・リボーンプロジェクト」をスタートさせ、街の将来ビジョンを検討している。アドバイザー役を務めるのは、建築家の藤村龍至東京芸術大准教授。2023年にポートアイランドの神戸国際会議場で開かれたシンポジウムでは、島内の緑化や歩行者空間の拡充を提唱した。 神戸市は藤村准教授のほか、2023年度だけで地元の13団体、160人以上と意見交換を重ね、基本計画の策定に向けて準備を進めている。そのために今秋、計画しているのが、にぎわい創出を目指した実証実験だ。 島内を南北に走る4車線道路のうち、2車線を歩行者空間とし、週末に生活雑貨を販売するイベントを開いたり、キッチンカーでランチを提供したりする予定。住民が歩きたくなる街に変え、街そのものの魅力を高めることを狙いとしている。 神戸市未来都市推進課は 「1980年の街開きから40年余の間に生じた問題を解決する必要がある。実証実験の結果を見て再生の方向性を決めたい」 と説明した。再整備が本格化する時期は、神戸空港に国際線定期便が就航する2030年ごろを想定している。
鉄道輸送力増強も課題に
ポートアイランドの活性化には、街の整備以外に解決しなければならない課題がある。ラッシュ時の混雑が問題になっている鉄道輸送力の増強だ。 国土交通省によると、ポートライナーの最混雑区間は貿易センター~ポートターミナル間。朝のラッシュとなる午前8時台の混雑率は、コロナ禍前の2019年度で 「126%」 新交通システムでは東京都の日暮里・舎人ライナーに次ぐ全国2位だった。 しかも、神戸空港の国際化で空港利用者が大きく伸びる可能性があるうえ、ポートアイランド2期工事区域や空港島の産業用地に多数の未利用地がある。 コロナ禍後、ポートライナーの混雑はいくらか緩和されているものの、企業進出が進めばコロナ禍前以上の混雑となる可能性が高い。