先輩・大西宏明さんが語るベイスターズが筒香嘉智を獲得した意義 「彼の経験、野球に対する姿勢、そして人間性。すべてチームにとってプラスになる」
ただ、こうもつけ加えた。 「でもロッカーとかでは、絶対にみんなと笑って遊んでいたはずですよ」 全盛期の筒香のオーラは、あくまでチームの顔として、外に見せるためにつくられたものだったという。だからこそ、「筒香は変わったのか?」という問いに対する大西の答えは「僕のなかでは変わらないですよ。まあ変わらないでしょう」というものだった。 焼肉を食べる際に脂身を控えるようになっても、人としては若い頃からまったく変わっていない。 【堺シュライクスへの入団交渉】 筒香の渡米後も、大西は年に一回くらいは会っていたという。メジャーの豪速球や動くボールへの対応、さらに自身の故障も重なり、筒香はアメリカで期待されたほどの活躍はできなかった。そんな時、悩みを打ち明けることはなかったのか。 「基本、自分ひとりで決めましたっていうタイプでしょ。『腰がダメです』とか、そういうのは聞いたことがありますけど、バッティングがどうとか、こういうことに苦労しているというのは聞いたことがないですね。(渡米中も)契約がまとまらんかったりした時も、『どうせアメリカで頑張るんやろ?』って聞いたら、『はい、もちろん。やれるまでとことん夢を追いかけたいです』って連絡があったので......全然悩んでいるっていう素ぶりはなかったですね」 環境面や待遇で恵まれないマイナーや独立リーグでプレーを続ける筒香に対して、国内では冷ややかな視線を向ける者もいた。 「彼なりの苦労はあったと思うんですけど、それは身近な僕でも感じないくらい見せなかった。それよりも純粋にアメリカで野球をしたいというのを感じましたね」 そして筒香は今年3月にアメリカでFAとなると、4月に古巣であるベイスターズに復帰した。巨人入り有力という報道もあったが、筒香と大西の間ではこんなやりとりがあった。 「たぶん日本の情報を知らなかったと思うんで、『ジャイアンツの報道、日本でこんなの出てんで』と教えたら、『いや、本当に全然そんなのないんです。正直、日本の何球団からオファーがあるのは事実です。でも、まったく決めていないです』って言ったので、『じゃあ、ウチの球団においで』っていう話はしました(笑)」