推しの「応援広告」急拡大、新宿や池袋は“聖地化”、K-POPが火付け役、数値で図れない愛を伝えたい
当初は掲載先となる媒体に応援広告とは何かという説明から始まり、事務所の許諾が下りずに掲載できないケースも珍しくなかった。現在は認知が広がり、代理店を介せば個人でも応援広告を出稿しやすくなった。 応援広告の出稿数は増え続けており、jekiは応援広告市場規模を377億円程度と推計する(2023年度)。同社が出稿を扱った団体数(1団体が複数回出稿することもある)は2023年度が1000団体、2024年4~11月で2156団体で推移する(下図)。応援広告の平均単価は13万円程度。媒体掲載費は6万円台後半から10万円で、これに印刷費がプラスされるイメージだ。
■愛情は果てしなく大きく… VTuberなどの応援広告は個人による出稿が多い一方、K-POPはファンが集まって出稿することが多いこともあり、予算規模は桁違いだ。「350万円の予算枠で、ニューヨークのタイムズスクエアや韓国各地、日本全国に応援広告を出したこともある」(冒頭のセンイルJAPANの増田代表)。 著名アーティストに限らず、アイドルの練習生の応援広告をタイムズスクエアに流したこともあるという。ファンが推しへ注ぐ愛情は、果てしなく大きく、深いのである。
応援広告は街頭ビジョンや駅ナカ広告に限らない。読売新聞は10月から、朝刊(別刷り)に出稿できるようになった。10万部を350万円から掲載できる。航空会社スターフライヤーの機体には、74万円からラッピング広告を出すことができる。 日本の推し活市場規模は8000億円超(2023年予測、矢野経済研究所『「オタク」市場に関する調査』)と拡大基調が続く。日本のあらゆる場所で、応援広告を見る日は遠くなさそうだ。
前田 佳子 :東洋経済 記者