インカレ4強終戦、桐蔭大の新潟内定FW笠井佳祐が流した涙…プロ同期・稲村隼翔との邂逅、母校への思い、来季への誓い
[12.25 インカレ準決勝 桐蔭横浜大0-1東洋大 栃木県グリーンスタジアム] 今大会最注目のカードとなったこの試合。桐蔭横浜大FW笠井佳祐(4年=関東一高)と東洋大DF稲村隼翔(4年=前橋育英高)の、アルビレックス新潟内定組の対決は、東洋大に軍配が上がった。笠井は「どこかで直接対決をやりたいと思っていた。それが実現して、イナムのチームから点を取りたかったけど、なかなかチャンスもなく。本当に完敗だった」と振り返った。 【写真】「絶対に誰だか分からない」「オーラを失った」…ヒゲを剃ったガットゥーゾ氏 関東大学リーグでは1勝1敗とイーブン。決着の場として、全日本大学サッカー選手権(インカレ)の準決勝が用意された。稲村は特別指定選手ながら、すでに新潟でJ1リーグ12試合に出場。ルヴァンカップでは先発メンバーとしてクラブ初となる決勝進出に貢献した。笠井は「Jリーグの舞台であれだけ活躍して、いい刺激をくれる存在。同期としてうれしい部分と悔しい部分もあった」と爽やかなライバル心を燃やし、戦いに臨んだ。 準々決勝終了時点で今大会最多7得点を挙げている笠井は、果敢にゴールを狙う。前半27分にはスルーパスに反応してPA内へ。左足シュートを放つも、わずかにゴール枠内を捉えなかった。 「前半のワンチャンスで決めていれば、展開が違ったと思う」(笠井)。桐蔭大は稲村を中心とした東洋大の堅守に阻まれると、後半33分にセットプレーから失点。そのまま逃げ切られ、0-1で準決勝敗退が決まった。 試合終了直後、笠井はひざをついてピッチに崩れ落ちた。仲間との歓喜を終えた稲村はまず笠井のもとへ。背中越しに抱きかかえ、両者の健闘を称え合っていた。ロッカールームを出た段階で笠井と稲村はまだゆっくり話せていなかったというが、笠井は「あとで写真でも撮ろうと思っています」と笑顔を見せた。 キャプテン松本太一の涙に誘われ、笠井も涙が止まらなかった。「泣く予定ではなかったけど。同期のみんながいたからここまでプロになれた。同期のみんながいつもいい刺激をくれて、練習に誘ってくれて、そういうのがあったからここまで来れた。本当にこれが最後なんだなと。太一の涙を見て、このメンバーとできないのかと考えたら涙が出てきちゃった」。桐蔭大という環境に感謝を口にする。 「今日は関東一高の先輩後輩として肥田野(蓮治/3年)とも2人でFWを組めたのもうれしかった。渡邊(啓吾/湘南内定)とはずっと組んできて意思疎通もできる選手。最後累積で啓吾は出れないなかで、決勝に連れていって一緒に出て終わりたかったという気持ちもすごくあったので。もう一試合一緒にできればと思っていたけど、そこは悔しい」 「安武(亨監督)さんも、八城(修)総監督も、関田(寛士コーチ)さん、(島崎コーチ)恭平さんにも、そんなに多くはないけど、少しぶつかったりもする場面もあった。それでも見捨てずにここまで指導していただいた。最後みんなで笑って恩返しできたらいいと思っていたなかで、自分自身いいプレーもできずに点も取れなかったなかですごく悔しい。だけど、プロで活躍して桐蔭横浜大という名前を出していくことが、安武さんたちへの次の恩返しになるのかなと思う。あんまり大きな目標を立てるタイプではないけど、開幕から試合に絡んでいけるようにいいアピールをキャンプからしたい」 悔しさはともに戦ってきた後輩に託した。「また来年、後輩たちが絶対優勝してくれると思う。この悔しさを知っている後輩たちがやってくれる」。すべてを出し切ったエースは、来季から再びルーキーとしてJの舞台での活躍を誓った。