松本人志の仕事復帰案を考えてみた 吉本興業が大株主「BSよしもと」で“24時間松本テレビ”
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 11月8日、文藝春秋ならびに「週刊文藝春秋」編集長に5億5000万円の損害賠償と訂正記事を求めて名誉毀損(きそん)で提訴していた、ダウンタウン松本人志(61)が、訴えを取り下げた。 【写真】松本人志の19歳年下妻 昨年暮れに週刊文春誌上で性的行為強要疑惑を報じられ、今年1月8日にXで「事実無根なので闘いまーす」とポストして活動休止を発表。同22日に提訴したことを発表していた。 裁判は“一種のけんか”だ。民事訴訟において、その勝敗を分けるのが実際に戦う弁護士だ。芸能関係や名誉毀損(きそん)の案件に強い弁護士を頼むのか鉄則だ。だが、裁判はなかなか始まらなかった。いったいどうなっているのかと不思議に思っていた。そして、最初の記事掲載から1年近くたっての提訴取り下げた。 40年近く事件、芸能を取材してきて、弁護士としてその仕事ぶりをよく見てきたのが、弘中惇一郎弁護士(79)だ。弘中弁護士は84年に「週刊文春」が報じたロス疑惑の三浦和義氏の弁護士として無罪を勝ち取った。その後も薬害エイズ事件、大阪地検特捜部によるえん罪事件などで活躍している。 記者が身近に接したのは、俳優加勢大周の独立問題だった。1990年(平2)年に映画「稲村ジェーン」の主役に抜てきされて俳優デビューした加勢は、同年の日刊スポーツ映画大賞「石原裕次郎新人賞」を受賞するなど織田裕二、吉田栄作と「平成ご三家」として人気絶頂だった。だが、91年に芸能事務所「インターフェイスプロジェクト」から独立宣言、母親を社長に据えた個人事務所を設立した。 91年8月にインター側が出演禁止と「加勢大周」という芸名の使用停止、5億円の損害賠償を求めて提訴。加勢側も逆提訴するなど泥沼の様相だった。加勢の芸名使用と活動の自由が保証された93年7月の東京高裁の判決で加勢の芸名使用と活動の自由が保証された。その後は「新加勢大周」のデビュー、08年の大麻取締法違反による有罪判決による加勢の引退などがあったが、加勢サイドで見せた弘中弁護士は敏腕ぶりは際立っていた。 芸能取材をしていると、裁判沙汰に出くわすことが多いのだが、一番は“けんかに強い弁護士”に依頼することだと実感する。刑事事件以上に民事は、弁護士の腕次第と思っている。 訴えを取り下げた、松本の次は“仕事復帰”だ。松本の所属事務所の親会社の吉本興業ホールディングスの株主でもある、テレビ各局は定例の会見で「説明のないままの復帰は考えづらい」と、松本自身による会見が必要という考えを示している。そして「吉本興業さんと松本さんが決めること」とげたを預けている。 民放各社は、国からの免許自供でスポンサーからのCM収入で成り立っている。今のままでは、地上波復帰は難しい。YouTubeなどを提案する向きもあるが、それも寂しい気がする。 そこで、吉本興業が大株主の「BSよしもと」での復帰を提案する。22年3月に開局した同局は、吉本系列のBS放送。放送は無料で吉本のタレント出演している。免許事業であることはキー局と変わらないが、有罪判決を受けた訳ではない。同局で「24時間松本テレビ」を放送して、説明会見、コント、漫才などをたっぷり見せれば、道は開ける…かもしれない。決して無責任に提案するわけじゃない、関係者から相談されて、なんとか考え出した策。検討してみて欲しい。【小谷野俊哉】