世界ロボコン 浜松の兄妹7位入賞 小中高生年代大会に挑戦10年、ラストイヤーで開花 災害活動想定し車両型開発
若者を対象にした世界最大級のロボット競技会「WRO2024国際大会」のフューチャー・イノベーターズ・シニア部門で、静岡大工学部1年の佐治由洋さん(19)、浜松北高2年の愛美さん(16)=ともに浜松市中央区=の兄妹が7位入賞した。2015年から2人で出場してきたが、19歳の年齢上限があり、大会参加は今回で一区切り。由洋さんは「今後は社会の役に立つロボット開発を目指す」と志は高い。 トルコ・イズミルで11月下旬に開催された。2人は土砂災害現場などでの活動を想定した車両型ロボットを開発。前面部で地盤を確認しながら走行し、障害物があれば搭載したドローンでさらに奥の現場を確認する仕組みを導入した。愛美さんは「目標の入賞ができてうれしい」としつつ、「実際に商品化できそうなロボットがあり、力不足も感じた」と感想を述べた。 由洋さんがロボットに熱中したのは小学2年時、付録の部品を集めて完成させる雑誌がきっかけだった。地元のプログラミング教室に通い始め、大会出場を目指す中で愛美さんも仲間に加わった。当初は動作制御の精度を競う競技に挑戦したが、さらなる達成感を求めて22年から企画・開発やプレゼンテーション力も評価される部門にくら替え。国際大会に備えて英会話技術も磨いた。新型コロナ禍での大会中止や、受験期間を挟みながらも家族ぐるみで挑戦を続けた。 愛美さんは10年間を振り返って「国内外でたくさんの交流があり、新しい景色に出合える時間だった。経験を将来に生かしたい」と笑顔を見せる。由洋さんは「思い通りの形や動きを追求する面白さがロボットの魅力」とし、「目の前にあるやりたいこと、好きなことを追いかけ続けてきた」と充実感をにじませた。 静大情報学部教授の父斉さん(61)が2人の挑戦を支えた。斉さんは「意思疎通を図りながら大会を楽しむ子どもたちの姿に成長を感じた」と目を細めた。 <メモ>ワールド・ロボット・オリンピアード(WRO) 世界中の小中高生年代を対象にした自律型ロボットによる国際コンテスト。各国の予選を勝ち抜いた出場者が集う。2004年にシンガポールで初開催。アジアを中心に発展し、23年大会は95カ国6万人以上が参加した。プログラミングの精度や社会課題解決に向けたアイデアなどを競う4種目を展開し、対戦形式の競技もある。選手2~3人とコーチ1人でチームを組んで出場する。
静岡新聞社