阪神ドラ1大山よりも5位糸原が「使える」の誤算?!
キャンプで2人のバッティングを見た元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、「大山は、動きの中でいわゆる体の左の壁がなく、ボールに衝突しにいくような形になってしまっていて、まだ時間がかかりそうな印象を持った。ボールとの距離がつまって、プロの揺さぶりに対応できなくなる。逆に糸原は、軸と壁をしっかりと作ることができている。逆方向にも打てるし、実戦向きかもしれない」と分析していた。 大山は右ひざの送り方を金本監督から指導されているが、いざ実戦になると、左ひざが開きバッティングの“間”を作ることができていない。 阪神キャンプをマークしている他球団スコアラーの大山、糸原評も、おおむね里崎氏の分析と重なっていて、糸原は「即戦力」、大山は「時間がかかる」と見ている。 だが、これらの現状も阪神にしてみれば想定内。“嬉しい誤算”とも言える。 ショートは北條と鳥谷が争っているが、北條がここまで成長&存在感を示している。若手育成を優先事項にしている金本監督が北條を使うとなると、浮いた鳥谷は、二塁か、三塁へ回ることになるが、三塁を予定している新外国人のキャンベルがまだ未知数。そして、上本らがいる二塁も、まだレギュラーが確定していない。それらの現状からすれば、そこに糸原という二塁を守ることのできるカードが一枚プラスされることは、金本監督の選択肢が増えることにつながる。あらゆるケースでのリスクマネジメントが可能になるのだ。 しかも、三塁に関しては、大山が即戦力で使えなくとも、高知・安芸の2軍キャンプで調整中の陽川が、大規模な打撃修正に成功しており、見違えるような成長を遂げている。 ドラフトの本当の答え合わせは、10年後に残っているかどうか。しかし、今季に関して言えば、ドラ1の大山がすぐに使えなくとも、ドラフト5位まで残っていた糸原が、大きな可能性をアピールしているのは、阪神にとって“嬉しい誤算”に違いない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)