ニュースでよく見る「談合」 なぜ悪いことなのか?
北陸新幹線の融雪設備工事をめぐる談合事件では、東京地検特捜部などが2014年2月初旬に、発注側の鉄道・運輸機構や受注側の設備工事会社などを家宅捜索したことがニュースになりました。また、1月末には関西電力の約200人の社員が受注業者の談合に関与していた疑いが報じられるなど、「談合」は日々のニュースで悪いことを意味するキーワードになっています。
談合が税金の無駄遣いを招く
そもそも、談合とは何なのでしょうか? その意味だけをとらえれば、単純に「話し合い」のことです。しかし、ニュースで使用される談合は、「公共事業などの競争入札をする前に、競争するはずの業者同士が事前に話し合い、受注業者と落札価格を決めていた」状況を指します。古来より日本では「和を以て貴しとなす」という考えがあるため、話し合いで物事を決めることはプラスのイメージがあります。ではなぜ、談合は悪いこととみなされるのでしょうか。 たとえば、ある地方自治体が道路を建設することになったとしましょう。その際、工事費用を少しでも抑えるため、業者同士を競争させて一番安い金額を提示した業者に依頼します。ところが、業者側が結託し、談合で事前に工事の見積金額を決めてしまえば、自分たちが儲かるように費用を吊り上げることができます。そのお金の出所は、私たちの税金。つまり、談合によって本来は必要のない高いお金を払わされ、税金の無駄遣いになってしまうことが問題なのです。
なぜ談合はなくならない?
「悪いこと」とされながらも、なぜ談合はなくならないのでしょうか。多くの公共事業は入札制度を取っています。入札にはどの企業でも自由に応募できる「一般競争入札」と、発注側が入札できる企業をあらかじめ指定する「指名競争入札」があります。前者は確かな技術を持った企業以外も参加できてしまうため、それでは不安だということで後者を取るケースが多いとされています。 「指名競争入札」では、ほかにどの企業が入札に参加するのかがあらかじめわかります。つまり、業者が事前に集まって金額を相談し、各社が順番に仕事を請け負えるよう同盟を組みやすくなるわけです。これが、談合がなかなかなくならない一つの要因です。