ニュースでよく見る「談合」 なぜ悪いことなのか?
談合への対策は?
談合を防止するため、2005年に独占禁止法が改正されました(施行は2006年1月)。これによって、公正取引委員会が裁判所の令状を得て家宅捜査や書類の差し押さえができるようになったり、全国の地方検察庁が談合の捜査を行えるようになったりするなど、権限の拡大が行われたのです。 また、企業への対策としては「課徴金減免制度」が導入されました。これは、入札談合やカルテル(企業間の不当な協定)に関わった企業が、公正取引委員会の立ち入り調査前に「談合に参加していた」と公正取引委員会に“自首”すれば課徴金を免除、2番目に申告した企業は半分に減額になるという制度です。この制度により、企業の申告が増加し、2006年度に79件だった申告件数が2010年度に131件と初めて100件を突破。2011年度は143件の過去最多となりました。
「必要悪」ととらえる意見も
一方で、談合を排除することによる懸念の声もないわけではありません。談合を厳しく取り締まることで、どうしても落札したい業者が極端に安く工事を受注し、下請け業者や末端の労働者にしわ寄せが及ぶ可能性もあります。また、順番に工事を請け負うことができれば、一部の企業に工事が偏らないメリットもあると、談合を「必要悪」としてとらえる人もいます。 しかし、資本主義経済では自由競争が原則です。前述のとおり、公共事業には私たちの税金が多大に投入されるわけですから、事業者決定のプロセスの透明性はやはり担保されるべきという意見が多数を占めているようです。 (南澤悠佳/ノオト)