桐生10秒01に小池10秒04。日本男子100m陣が過去最高レベルに達した理由と課題とは?
一方の小池は「3位以内に入れず、悔しい気持ちが先行しています」と話したが、自己ベストを10秒17から10秒04(日本歴代7位)に大幅短縮。「理想に近いレースができましたね。トップスピードが上がったことと、特に後半部分は自分の強みが出せたので、200mにつながるんじゃないかなと思います」と笑顔を見せた。 昨季は日本選手権の100mで4位、200mで2位に入ると、アジア大会の200mで金メダルを獲得。今季は男子4×100mリレーのメンバーにも食い込んでいる。 「僕は200mが本種目です。とはいえ100mと両立することがこだわりでもあります。200mは世界の舞台で一発合わせて、上を目指すことを意識しています。ドーハ世界選手権はファイナル進出が目標です。そのためには、準決勝で一番いい走りをすることが大切だと思っています。100mのメインは日本選手権。ピーキングを合わせていけば戦える」 小池はピーキング能力に自信を持っており、今回の走りはメイン種目の200mにも好影響をもたらすだろう。そして、桐生と小池は先日9秒99をマークしたサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)に続いて、東京五輪の参加標準記録(10秒05)を突破。1年3か月後の晴れ舞台に一歩前進したことになる。 男子100mの日本代表争いでいうと、山縣と多田はドーハ世界選手権の参加標準記録(10秒10)にも届かず遅れをとった。17年6月の日本選手権での敗戦を最後に日本人に無敗を誇ってきた山縣は、桐生だけでなく、慶大の後輩・小池にも先着を許した。 「スタートで鋭くポンッと出られませんでしたが、中盤の走りは自分のイメージした通り。レース内容はまあまあじゃないかなと思います。ただ、このままだと代表に入るのも簡単ではない。代表争いの壁は高いことを肌で感じています」とレース後の言葉には危機感があふれていた。 それでも、4月後半に行われたアジア選手権の男子100m決勝を右脚の不安から棄権したことを考えると、状態は確実に上向いている。日本選手権では前回王者としてのプライドを見せてくれそうだ。 個人種目で久しぶりに好走した多田も納得していなかった。「うれしい気持ちは一切なく、悔しいです。日本選手権は優勝を目標にして、ドーハ世界選手権のキップを獲得したい」と話していた。 銀メダルに輝いたリオ五輪の男子4×100mリレーでアンカーを務めたケンブリッジ飛鳥(ナイキ)は10秒30の9位。左太腿を痛めた影響で5月3日の静岡国際と同6日の木南道孝記念を欠場しており、本調子ではなかった。「脚の状態は8~9割くらい。今回はひどいレースでした。次に勝負できるようにしたい」と静かに闘志を燃やしていた。