「富岡製糸場」管理費用は多額でも、来場者数はピークの1/3以下…。<世界遺産登録は万能の妙薬>という誤解 アレックス・カー×清野由美
◆世界遺産登録の本来の意味 富岡製糸場の事例を踏まえて言いたいのは、自分たちの町、地域の遺産をいかに観光のために整備できるか、より総括的に考える必要があるということ。もしくは世界遺産への登録が、本当の意味で観光振興につながるのか。 地元の人たちや関係者たちが、それらの問いを吟味した先に、世界遺産登録の本来の意味は生じます。 そこを詰めないまま、「世界遺産登録=観光客誘致の切り札」と短絡させるだけでは、物見遊山的にやってきて、「失望した」と文句を拡散する人を増やすだけです。 日本人が大切に守ってきた場所ならば、世界のブランドに頼る前に「日本が認めた」「自分たちが大切にしている」という視点を、今一度磨いていくべきでしょう。 ※本稿は、『観光亡国論』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
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