「プーチン&金正恩」の「地獄のタッグ」と対峙する「岸田政権」があまりにお粗末過ぎてまったく期待できないワケ
その場しのぎの減税や優柔不断な政治姿勢
仮に、足もとの為替レートで当初の計画通り装備品を調達しようとするのならば、新たな国債発行か、社会保障費など他の歳出のカットか、はたまた増税のいずれかによって新たな財源を確保する必要があるというワケである。 加えて、もう一つ、こうした事態に対して機動的な対応を打ち出しにくくしている問題がある。それは、防衛増税を、国民に国政選挙で信を問うたわけでもなく、国会で与野党がしっかりと論戦をしたわけでもなく、2022年12月前半のわずか8日の間に政府・与党の間の密室の議論だけで決定した問題だ。国の行方と、身を切る増税をどさくさ紛れに決めておき、それでは足りなくなったという理由で、国民に新たな負担を強いざるを得ない状況に陥ってしまったのである。 振り返れば、岸田総理に対し、「増税メガネ」批判が噴出。総理は慌てて、ほぼ独断で、ひとり4万円の定額減税を増税前、つまり、今年度に先行させる決定を下した。この煽りで、2022年12月に政府与党が決めた法人税、所得税、たばこ税の3税目を対象にした防衛増税の開始時期がいまだに決まっていないのだ。泣きっ面にハチだろうが、この定額減税は、減税なのに、国民の評判が悪いものに終わろうとしている。 この辺りの詳細は、当時の本コラム(2022年12月20日付「岸田政権の‟姑息なやり方”で本当に『防衛力の強化』と『財源の確保』が実現できるのか」)を参照してほしい。 が、2022年12月に閣議決定した税制改正大綱には「2027年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、1兆円強を確保する」と明記してあることから、本来ならば、2026年度からの増税の実施は避けられないはずだ。 しかし、政治資金パーティ問題に端を発した裏金問題の処理に手間取り、岸田政権への支持率は低下の一途を辿ってきた。今や、この秋の自民党総裁選や総選挙を乗り切れるかが限りなく流動的な状況に陥っている。 露朝同盟の復活により、日本を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増しつつあることが改めて浮き彫りになった。 にもかかわらず、国内では、岸田総理のその場しのぎの減税や優柔不断な政治姿勢を続けてきた結果、おカネの面から、日本の防衛力強化が当初の計画通り進むのかさえ予断を許さない状況に陥っていた。 ここで新たな危機に迅速な手を打つことを期待するには、前提となる現状があまりにもお粗末過ぎるのだ。
町田 徹(経済ジャーナリスト)