生前贈与で「定期預金を名義変更」しても課税対象となる?…知っておくべき贈与税の“6つの非課税枠”
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に財産を譲渡することを指し、相続時の資産を減少させることで相続税の軽減を図る効果的な節税対策です。生前に定期預金の名義を変更することで将来の相続税負担を軽減できると考えている方は多いですが、この名義変更には贈与税が課せられる可能性があるため、注意が必要です。本記事では、定期預金を生前に名義変更する際の税制上の留意点や、より効果的な税対策について詳しく解説します。 都道府県「公務員の定年退職金」ランキング…<2022年・一般行政職>
生前贈与とは?
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に、財産を贈与で譲り渡すことをいいます。 贈与は、法律的には「当事者の一方(贈与者)が、自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力が生じる契約」(民法549条)です。被相続人がこの契約を生前に相手方と結べば、民法上は生前贈与ということになります。 一般的に生前贈与は、相続時の資産を少なくし、将来発生する相続税を低くするための節税対策として利用されます。
贈与税の課税方法は?……「6つの非課税枠」について
贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。受贈者は、贈与者ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。 暦年課税 「暦年課税」は1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(1年間に二人以上の人から贈与を受けた場合や同じ人から2回以上にわたり贈与を受けた場合には、それらの贈与を受けた財産の価額の合計額)をもとに贈与税額を計算する方法です。 なお、暦年課税を選択した場合は、いつでも次に紹介する相続時精算課税に移行することができます。 相続時精算課税 「相続時精算課税」は、60歳以上の父母又は祖父母から18歳以上の子又は孫が財産の贈与を受けた場合に選択できる課税方法です。 なお、一度相続時精算課税を選択すると、その後同じ贈与者からの贈与について暦年課税に変更することはできません。 贈与税の非課税枠とは 贈与税の非課税枠について見てみましょう。 贈与税の非課税枠には、一般的なものとして、以下の6つの場合があります。ただし、(1)と(2)は、どちらかを選択することになります。 (1)110万円の基礎控除による非課税枠 暦年課税を選択する場合、一人の人が毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円までの場合には、贈与税は非課税となります。 (2)相続時精算課税による非課税枠 相続時精算課税を選択する場合、贈与を受けた財産の価額の合計額が2,500万円までの場合には、贈与税は非課税となります。 (3)夫婦間贈与の特例による非課税枠 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで贈与税は非課税となります。 (4)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税枠 平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の人が、父・母・祖父・祖母などの直系尊属から結婚費用・子育て資金に充てるために一括贈与を受けた金銭等については、一定の要件をすべて満たせば、1,000万円(結婚費用に充てるための金銭等は300万円)まで贈与税は非課税となります。 ただし、その受贈者が50歳に達したときに残っていた残金については、50歳に達したときにおいて残金を贈与されたものとして贈与税の対象となります。 (5)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税枠 平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、30歳未満の人が、父・母・祖父・祖母などの直系尊属から教育資金に充てるために一括贈与を受けた金銭等については、一定の要件をすべて満たせば、1,500万円(学校等以外の者に支払う金銭等は500万円)まで贈与税は非課税となります。 ただし、教育資金管理契約が終了したときに残っていた残金については、そのときにおいて残金を贈与されたものとして贈与税の対象となります。 (6)特定障害者が贈与を受けた場合の非課税枠 特定障害者の生活費などに充てるために、一定の信託契約に基づいて特定障害者を受益者とする財産の信託があった場合は、その信託受益権の価額のうち、特別障害者である特定障害者については6,000万円まで、特別障害者以外の特定障害者については3,000万円まで贈与税は非課税となります。
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