北海道のご当地ベーカリー「ペンギン」東京出店の内幕 西武国分寺線「恋ヶ窪駅」の行列ができるパン屋
ことさらに東京進出の意図はなかったという同チェーンだが、社長の高山氏によると、2027年3月期の10周年までに100店舗を目指したいという。どのような戦略で展開していくのだろうか。 ■コロナ禍でニーズを確信 まず同チェーンのビジネスモデルは、冷凍した生地を各店舗に送り、店舗で焼き上げる方法。パン製造の中でも技術習得が難しい生地作りを本部で行うため、店舗の負担が抑えられる。同じスタイルのチェーンに2020年にオープンした「小麦の奴隷」があるが、ペンギンベーカリーでは2店舗目を出店した2017年から、この方法をとってきたそうだ。
2019年まで北海道内に店舗を広げ、なだらかに業績を成長させてきた高山氏がFCによる全国展開を決意したきっかけがコロナ禍だった。2019年比で既存店売り上げが109%に伸びたのだという。 「起業時、地方にチャンスがある、と考えた理由はコストの差。同じ値段で販売しても、都会は諸費用が高くつく。地方であれば、その分利益になる。コロナ禍でニーズを確認し、地域の食のインフラとして、展開を広げていけるという確信が持てた」(高山氏)
53店舗展開する現在の業績は、2025年3月期売上高29億9000万円、利益は3億5000万円を見込んでいるとのことだ。一番のこだわりは北海道産小麦。そして「おいしさと品質、素敵な接客、ワクワクする売り場づくり」の3本柱を営業方針にしている。 「お客の8割は女性。リピート率も高い。地域に密着し、信頼される接客が重要だ。毎月必ずスーパーバイザーが加盟店を訪問し、商品・サービス品質を確認している」(高山氏)
高山氏は起業前、ハウスクリーニングチェーンでFC事業本部の責任者だったとのこと。同じく女性客が中心で、家庭に入り込むところから、「信頼される接客」が第一だった。その経験がベーカリーチェーン運営にも生かされているという。 また毎月10品は新しい商品を並べ、売り場の新鮮味を保っている。開発は本部で行うが、専門の部隊があるわけでなく、パートタイマー含め従業員全員で検討しているそうだ。従業員の7割以上が女性のため、客目線でのアイデアが出るメリットもある。