マシンガンズが語る、売れない芸人半生「滝沢が就職して終わっていくんだなと、諦めがありましたね」
お笑いがすごい好きというわけではない
──それから滝沢さんはごみ収集会社に就職し、西堀さんは俳優のお仕事も増えてきます。芸人としてどうなっていくのかという不安はなかったんですか? 西堀 滝沢が就職して終わっていくんだなと、諦めがありましたね。滝沢が「心の中では芸人を辞めている」とライブで言ったんですよ。まっすぐ売れるのはもう無理なのかなって気持ちもありました。生活もありましたしね。 滝沢 僕らで言うと、2年前までそうですよ。人生設計に入っていなかった『THE SECOND』があって、ラッキーでした。特に努力しているわけではないし、ネタも20年前くらいので出ているので、辞めなかった一点だけ褒めてやりたいです。 ──なぜ芸人を辞めるという一歩を踏み出さなかったのでしょうか? 滝沢 全部が全部だめだったらもっと早く辞めているんですよ。この業界はたまにチャンスくれたりするんですよね。秋元康さんが気まぐれに番組出してくれたり、『THE MANZAI』があったり。ポイントではチャンスがあって、それで結果が出なかったんです。あとは、辞めるほうが怖いですね。芸人を続けるためにゴミ清掃員になったし、とりあえず続けてあがいてみるみたいな感じですよね。昔、親父が歌手を目指していたらしくて「お前が生まれるからやめたんだ」と言われたのが悲しくて、僕は子供にそう言いたくなかった。だから、お笑いがすごい好きというわけではないです。 西堀 ちょっとくらい好きでいろよ(笑)。 滝沢 今もそんなに好きじゃないですね。 ──そうなんですね(笑)。周りには芸人を辞めていく先輩・後輩もいましたよね? 滝沢 そうですね。止まっちゃうと終わるというか…。辞めていった芸人を見ると、「借金なくすためにバイトに専念するわ」とか言ってそのまま辞めていくんですよね。我に返るとやっていられないんですよ。 西堀 そうそう、渦中にいないと辞めちゃう。 滝沢 感覚が麻痺していないと芸人なんてできないですよ。 ──そんな長いトンネルのような時代が続き、2023年の『THE SECOND』でまた日の目を見るようになりました。当初はこの大会をどう見ていたんでしょうか? 西堀 まためんどくさいのが始まったなと。さすがに漫才をやっていて出ないのはどうなんだと思ったんですけど、一回目のとき副鼻腔炎の手術と予選が重なっていて、断るいい口実ができたと思っていたら、たまたまずれてマネージャーが勝手に応募して出ることになってすごく後ろ向きでしたね。 滝沢 出るしかないので。考える余地はないですよ。僕らは事務所の犬みたいなもので、やれって言われたこと全部やっているんです。 ──しかし、大会が始まるとあれよあれよと勝ち上がり、見事準優勝を飾りました。こんな事態を予想していましたか? 2人 ないないない。 滝沢 とりあえず参加してだめでしたよってなると思っていました。だから、こういうこともあるんだなと。 西堀 この大会は人間の欲深さが出ますね。最初はノックアウトステージ32に残って、本来なら2人で「よくやったな」となるんですけど、次16に残ったら「あれっ、もっと勝ちたいな」と思うようになっていて。そういうのがここ15年なかったので、環境が変わらないと人は変わらないのかなと思いますね。