中国の「バズーカ砲」に疑念広がる-消費喚起策ないとイエレン長官
(ブルームバーグ): 世界中からワシントンに今週集まった財務・金融当局者らは、中国の習近平国家主席が打ち出した新型コロナウイルス流行期以来最も大胆な景気刺激策に感銘を受けなかったようだ。
国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会などのため訪米した各国・地域の財務相や中央銀行総裁は中国に対し、経済成長に向けリバランスを進める追加措置や政策に関するより明確な説明を求めた。
中国人民銀行(中銀)などが9月下旬以降に相次ぎ発表した金利引き下げや銀行への追加資金供給、住宅部門支援策の内容や効果に疑念が呈される一方、重要な財政パッケージの中身が見えないとの意見もあった。
中国がこれまでに示した景気対策について、イエレン米財務長官は過剰生産能力や国内需要の低迷といった最も差し迫った問題に対処できていないと批判。
ゲオルギエワIMF専務理事は国内消費を押し上げる改革を行わない限り、中国の年間成長率は将来的に4%を「大幅に下回る」可能性があると警告した。ブラジルのアダジ財務相は中国の対策について「不安がある」と述べたが、詳しい言及はしなかった。
イエレン長官は消費喚起策がないことに触れ、「私が期待していたような形で、この問題に対処する政策の発表が中国側から本当に聞こえてこない」と語った。
自国経済を製造業重視からシフトさせるリバランスを図っている中国だが、同長官はそのためには消費の刺激が不可欠だとしている。
沈黙
ある中銀幹部によると、ワシントンでは非公開の会談が相次ぎ、中国の「バズーカ砲」がどれほど景気を刺激するのかや、中国経済に実際にどの程度の弱体化が見られるかについて議論が交わされた。
中国の廖岷財政次官や人民銀幹部は、20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議を含む会合に出席するためワシントン入りしたが、習政権の景気刺激策に関与する重要な人物は誰一人として公の場で発言することはなかった。
中国の当局者がこうした集まりで正式な説明をすることはめったにないが、今週は投資家たちが中国政府が近く示すと示唆している借り入れ計画の輪郭を知りたいと強く求めていたことから、中国側の沈黙は一段と際立った。