長谷部の代役は今野?緊急事態のハリルJはUAEに勝てるのか
敵地アル・アインで23日午後7時半(日本時間24日午前零時半)から行われる、UAE(アラブ首長国連邦)代表とのW杯アジア最終予選の大一番へ向けて、日本代表が18日夜に離日した。 しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が機上の人となっている間に、チームを激震が襲った。指揮官をして「彼なしのチームは考えられない」とまで言わしめる不動のキャプテン、MF長谷部誠(フランクフルト)が左すねのけがで辞退することが必至の状況となったからだ。 長谷部は11日に行われたバイエルン・ミュンヘン戦で、シュートをクリアしようと飛び込んだ際にポストへ激突。試合後には左足のすねを6針縫ったが、ハリルホジッチ監督は16日のメンバー発表会見で「彼は非常に強い。すでに練習を再開させている」と心配無用を強調していた。 しかし、会見から数時間後に事態は急転。精密検査の結果が思わしくなかったことを受けて、フランクフルトは手術が必要と判断。全治などは未定で「無期限の離脱」と発表されている。 チームの精神的支柱を襲った悪夢は、昨年9月に黒星を喫したUAEへ雪辱を果たすために、指揮官が明け早々から練ってきた青写真を根底から覆す。 今回招集された25人でボランチ枠は3人。長谷部と山口蛍(セレッソ大阪)、約2年ぶりに復帰となる今野泰幸(ガンバ大阪)は、いずれも守備力を武器にする。 柏木陽介(浦和レッズ)や大島僚太(川崎フロンターレ)ら、司令塔的なボランチを招集しなかった理由はただひとつ。UAEが誇る「10」番、オマル・アブドゥルラフマンを中心とするUAEの中盤を機能不全とするためだ。 「オマルはかなり危険な攻撃を仕掛けてくる。クオリティーが高く、彼がボールを持てばこの選手がどこへ動く、という動きも自動化されているからだ」 今月上旬に行ったインタビュー取材で「オマル潰し」を掲げていたハリルホジッチ監督の脳裏には、対峙するボランチとして長谷部と山口のコンビが描かれていたはずだ。 激しく、かつ泥臭い守備でボールを奪い、1トップにボールを預けて速攻を仕掛ける。イメージは同じくアウェイで引き分けた、昨年10月のオーストラリア代表戦に共通するものがある。 このときは本田圭佑(ACミラン)を1トップで起用。開始5分に奪った先制点は、縦パスを受けた本田が相手を背負いながらタメを作り、その間に最終ラインの背後へ抜け出したFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)へ通したスルーパスから生まれている。 「UAEのCBやボランチは非常に強く、ときには激しくタックルしてくる。そこで相手ゴールに背を向けながらプロテクトできる選手と、スピードがあって裏へ飛び込める選手が必要になる」 この考え方に沿えば、1トップにはポストプレーにも長けた大迫勇也(ケルン)、左ウイングには原口、右には新天地ベルギーで大活躍中の久保裕也(ヘント)の先発起用が濃厚だ。前回の対戦では原口が途中出場しただけだが、ポジションはボランチだった。