【北欧デザイン×スイス製】スウェーデンの本格時計、Tusenö【実機レビュー】
文字盤はサンレイダイアル以外も語りどころがかなり多いのだが、次に注目したいのが外周の見返しリングだ。見返しリングは表面に同心円のヘアライン仕上げが施され、傾斜が付けられている。この傾斜がデザインのポイントになっており、文字盤に向けて光を反射する効果(サンレイ装飾やデッキモチーフの装飾に陰影を生む)、奥行き感を高める効果、そして分表示の視認性を高める効果を発揮しているのだ。ちょっとした作りこみの工夫なのだが、この傾斜があるとないとでは印象が大きく違ってくることだろう。 見返しリングの内側に設けられたアウターリングは中央のサンレイダイアルよりも一段低く凹ませたデザインとなっている。表面にはシボ加工が施され、さらに分目盛りを配置。この分目盛りはシボ加工の表面より僅かに高く、立体的な造形にデザインされているため、プリントの平板な目盛りよりも視認性が高いのだ。目視で明確に高低差が認識できる高さではないのだが、こうした細部の作り込みの積み重ねが見た目の印象を変えるため、奥行き感をプラスするポイントとして、とても重要な役割を果たしている。同価格帯でほかのブランドの時計を見ると、針がペラペラで、取り付けの際に歪みが出ているものもあるのだが、トゥセノーにはその心配はいらないだろう。
外装はベゼル、ミドルケース、裏ブタの3ピース構造を採用しており、ベゼル、ケース、ブレスレットの表面はすべて縦の筋目を入れたヘアライン仕上げで統一されている。小傷や汚れが目立ちにくいヘアライン仕上げをベースにしたことで実用時計らしい質感に仕上げられているが、ベゼルの傾斜、ケースのエッジの面取り部分とケースサイド、同じくブレスレットのコマのエッジの面取り部分とサイドには鏡面仕上げを採用。実用時計らしい雰囲気を壊さない加減で、程よく高級感も感じられる。秒針の先端を鮮やかなイエローにペイントして、視認性とデザイン性が強化されており、シャイニーな文字盤とポップな明るいイエローのコンビネーションも魅力的だ。 実用時計、とくにヘアライン仕上げをベースにした時計が好きという筆者の個人的な好みも大きく影響しているが、率直に言ってケース、ブレスレットなど、外装パーツは加工精度も満足感が高い。ロレックスやオメガのようにパーツ同士がほぼ隙間なく密接に組み合わせられたレベルではないが、オリエントスター、セイコーなど、同価格帯の時計と比べても遜色はない品質を備えている。直径が約6.5mm(編集部で計測)と、通常より大きめにデザインされたねじ込み式リューズ(トップには新デザインのブランドロゴをデザイン)も実用時計としての評価を高めるプラスポイントだ。大きめのサイズなのでリューズ操作しやすく、ねじ込む際にストレスを感じさせない。