空き家を行政代執行で解体 瓦が近隣住宅に落下する被害も 費用の回収不透明
堺市は、付近の住民や通行人に危険だとして、空き家対策特別措置法に基づき、同市北区大豆塚町の家屋を解体する行政代執行に着手した。 【写真】20年にわたり放置された東京都内の空き家。玄関にはツタが生い茂っていた 同市によると、家屋は木造2階建てで築年数不明。台風で屋根、外壁が損壊するなどし、放置すれば周辺に影響を及ぼす恐れがある「特定空き家」に令和元年に認定した。市は所有者を調査したが、数十人と見込まれる相続人全員の特定や合意形成が難しいと判断。同法による代執行に踏み切った。同市での特定空き家への代執行は初めて。 着手した7日、同市建築防災推進課の小松輝樹課長が「建築物の除却を行います」と拡声器で代執行宣言を読み上げると、解体業者が作業を始めた。今月中にも作業を終える予定だ。 300万円以上かかるとされる費用は本来、所有者の負担となるが、全員の特定が困難なため、市が回収の方法や可能性について今後、検討を進める。 近隣の男性は「30年ほど前から空き家だと思う。台風で空き家の瓦が落下し、車が傷ついたこともある。土壁のホコリで窓も開けられない」と話した。