アゼルバイジャン大統領、旅客機墜落の責任認めるようロシアに促す
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は29日、ロシア南部へ向かっていたアゼルバイジャン航空の旅客機が墜落し38人が死亡した25日の事故について、責任を受け入れるようロシアに求めた。国営メディアのインタビューで発言した。 アゼルバイジャン航空J2-8243便は25日、カザフスタン西部アクタウ近郊に緊急着陸しようとしたが、墜落して炎上した。ロシアの防空システムに迎撃されたと考えられている。 クレムリン(ロシア大統領府)の発表によると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は28日、アリエフ氏に電話で「ロシア領空で悲劇的な事態が発生したことを謝罪し、遺族にあらためて誠心誠意から深い追悼の意を示すほか、負傷者の速やかな回復を願っていると伝えた」。ただし、ロシアに責任があるとは言わなかった。 アゼルバイジャン国営メディアのインタビュー記録によると、アリエフ大統領は事故について29日、「ロシア当局は、ガスシリンダーがどれか爆発したなどの説を提示」しているが、これは「ロシア側が問題を隠蔽(いんぺい)しようとしていると、明確に示すものだ」と話した。 さらにロシアではバードストライク(機体と鳥の衝突)が原因だという説が一部で支持されていることを、アリエフ氏は問題視し、ガスシリンダー爆発説もバードストライク説も「愚かで不誠実」だと批判した。 アリエフ氏は、飛行機の撃墜が偶発的な事態だったことは認めつつも、墜落から最初の3日間にかけて「ロシアからはひたすら、ばかばかしい説が聞こえてくるだけだった」と述べた。 大統領によるとアゼルバイジャン政府は27日に、ロシア政府に対して複数の要求を提示。そのうちロシアが応じたのは、「謝罪する」という要求だけだったという。 アリエフ大統領は、プーチン大統領の謝罪を受け入れつつも、ロシアは「責任を認め」て賠償金を払う必要があると述べた。 アゼルバイジャンとロシアは同盟関係にある。アリエフ大統領は「我々の飛行機が友好国において、地上から撃たれるなど、誰も思いもしないはずだ」と述べた。 アゼルバイジャン航空J2-8243便は25日、アゼルバイジャンの首都バクーからロシア・チェチェン共和国の首都グロズヌイへ向かう途中で、攻撃されたと考えられている。J2-8243便は、カザフスタン西部アクタウ近郊に緊急着陸しようとしたが、墜落して炎上。乗っていた67人のうち38人が死亡した。 アゼルバイジャンの航空専門家らは、旅客機の全地球測位システム(GPS)が電波妨害を受けた後、ロシアの防空ミサイルの破片で機体が損傷したようだと指摘している。 クレムリン(ロシア大統領府)によると、プーチン氏はアリエフ氏に対して、旅客機が目指していたロシア・チェチェン共和国グロズヌイの空港に繰り返し着陸しようとしていたことや、「当時はグロズヌイ、モズドク、ウラジカフカスなどがウクライナの無人機で攻撃されている最中で、ロシアの防空システムがそうした攻撃を撃退した」最中だったことを認めたという。 アゼルバイジャンでは29日、墜落機の操縦士たちと乗客をたたえる式典が行われた。 イーゴリ・クシュニャキン機長、アレサンデル・カラヤニノフ副操縦士、ホクマ・アリエワ客室乗務員は、助かった29人を救うため、自分たちの命を犠牲にして飛行機を着陸させたと表彰された。 (英語記事 Azerbaijan urges Russia to accept blame for plane crash)
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