終了期限間際のトレード戦線に異常あり?!巨人に手を出さない“不文律”
プロ野球のシーズン中に可能なトレードの期限が迫っている。2008年からシーズン中のトレード期限が外国人選手の獲得期限と同じく6月末から7月末に延期されたが、1分1秒単位で、期限のギリギリまで交渉が続くメジャーと違って、日本の場合、締め切り直前の駆け込みトレードは活況ではない。 7月17日にオリックスの近藤一樹投手(33)とヤクルトの八木亮祐投手(25)の1対1トレードが発表されているが、おそらく、これが事実上の最後の滑り込みトレードで、残り3日で成立しそうな水面下の動きは見られない。結局、今季のシーズン中のトレードは4月1日に発表された日本ハム、藤岡好明投手(31)の横浜DeNAへの金銭譲渡、4月12日に成立した日本ハム、乾真大投手(27)と、巨人、大累進内野手(25)との1対1トレードを含む3件のみだった。 実は、ただでさえ活況ではない日本のシーズン中のトレード市場において、例年とは違う異常現象が生まれていた。ファームの試合を取材に訪れると、各球団の編成担当がチェックのため顔を揃えているが、「巨人の選手に手を出せない」の“不文律”が、各球団トレード担当者の間で広まっていたのだ。 「例の野球賭博問題が、まだ尾を引いている。トレード前に、そこまでの調査はできないからね。もしトレードをしました、その後、野球賭博や裏カジノのようなところに出入りしていたことが発覚しました、となれば、トレード担当者のクビが飛びますよ。そう考えると、巨人とのトレードは難しい。これは、うちだけでなく、どこの球団もそういう方針だと聞いている。今年のオフのトレードでも同じ状況は続くだろう」 ある球団のトレード担当者からそういう内情を聞いた。 改めて書くまではないが、週刊誌報道をきっかけに、昨年、巨人の笠原将生、福田聡志、松本竜也の3選手が、野球賭博への関与でNPBから無期限の失格処分を受けて解雇、高木京介投手も、1年間の失格処分を受けて解雇された。 以降、噂されていた第4、第5の野球賭博への関与選手は出てこなかったが、巨人のこの問題が起きて以来、各球団でコンプライアンスの強化が叫ばれ、再発防止などに神経質になっているため、残りの巨人の選手が、“潔白”だとしても、事態が終結して疑惑が完全に晴れるまで、巨人の選手にわざわざ手を出したくないというわけだ。 特にシーズン中のトレードは、同一リーグを避けて、セ、パ間で行われるため、パの編成担当者の間で、「巨人の選手に手を出せない」との“不文律”が広がっていたのである。