路線バスに乗りまくるマニアライターが感じる異変! 最近のドライバーに感じる「運転の荒さ」の原因とは
職業ドライバーはまさに技術職人たちの集まり
二種免許をもつプロドライバー、とくにタクシーやバスといった旅客輸送業界の運転士には独特の運転テクニックがある。それは乗客をいい意味で欺く運転技術である。 【画像】車両価格3000万円以上の超高級車のタクシーがあった たとえば、二種免許を取得する際の技能教習時には、「信号のある交差点通過時には正面のクルマ用ではなく、交差する道路側の歩行者信号をより注意して見なさい」という教えがある。それ以前に二種免許を取得するためには、より広い危険予測視野の確保が求められる。一種免許よりも幅広いだけではなく、より前方を意識するだけではなく、後方確認もより求められる。前方とルームミラーによる後方確認の割合は「6:4(前:後)」ともいわれている。 交差点通過時の話に戻すと、たとえ正面のクルマ用の信号が青であっても、交差する道路側の歩行者信号が青点滅になっていたら減速し、正面の信号が黄色になるのを待ってさらに減速して停車することを心がけるように指導されているとも聞いている。もちろん、すべての場合においてこのような処置をしろというわけではない。無理に黄色で突破するのはよろしくないが、そこは円滑な交通確保というものも二種だけでなく一種では求められている。ただ、二種免許を持って営業運行する際にはさらに求められるのである。 先日ネット上で路線バスの乗客が「バスがわざとノロノロ運転して信号が青から赤になるのを待って停車していて迷惑だ」といった投稿を寄せていたことが話題となっていた。筆者は「バスオタク」を自称しており、前扉すぐ近くにあり、運転席のほぼ真横にある「オタシート」に座ることを楽しみにしている(新車のバスほどオタシートがないことを悲しんでいる)。運転士を「ガン見(じっくり見ること)」しているわけではないが、信号のある交差点では交差道路側の歩行者信号を気にしているのはよく伝わってくる。たまに、そこを過剰に意識し、「結構無理しているなぁ」という感じで減速して調整し、赤信号になって停車させていることも見かける。 バスの車内放送でよく、「やむを得ない場合、急ブレーキをかける場合があります」として、立ったまま乗車している乗客へつり革などにつかまるように注意を促しているのを覚えている人も多いだろう。たとえば「いけるかな」と思い加速したものの、間に合わずに信号が赤になってしまい、慌ててブレーキをかけた際にバスでは車内転倒事故の発生リスクが極めて高くなってしまう。そのため、急制動回避のためにも信号のある交差点通過には細心の注意を払っているのである。乗用車にはない補助ブレーキとも呼べるものが装着されているのもそのためといってもいいだろう。