「志村けんさんにいただいた言葉を胸に…」芸人コンビ・ハマノとヘンミの夢
◇2年連続『R-1』の準決勝に進出したへんみ 濱野:コンビを組んだ最初の頃は本当にダメでした。1発目のネタ見せで、大げさじゃなく部屋の空調の音が聞こえたんです。そこからネタ見せが怖くなって、養成所にいた頃はほとんどネタ見せをしてない。合同ライブがあるとか、やらなきゃいけないところでしかネタをやってないんですよね。 へんみ:養成所の授業は任意だったので、いっさいネタ見せをやらなくなっちゃって。だから、影もどんどん薄くなっていきましたしね……。 濱野:喫煙所にも入れなくなっちゃいました……。 ――最初からコントだったんですか? 濱野:最初は漫才ですね。おぎやはぎさんに憧れているのもあって、漫才でああいう雰囲気を出せたらいいなという気持ちはあったんですけど、養成所で会ったばかりの二人なので、すぐには噛み合わない。自然とコントになっていきました。さらば青春の光さんとか、かもめんたるさんのネタが好きだったんですけど、コントにたどり着くのにも、めちゃくちゃ時間かかりました。 ――漫才はやらない方向性なんですか? 濱野:いや、それが最近「やったほうがいい」と言われるんです。正直、コントに対して小っ恥ずかしさがあるんですよ(笑)。演じているんですけど、感情を出すのが苦手なので、感情の部分はへんみにやってもらっているんです。 ――ハマノとヘンミのネタって、お二人がやるから面白いという側面があると思うんです。人間観察が得意ということも合点がいくし、演技力も高いですよね。個人的には「手紙」や「合格発表」がすごく好きなんですけど。 へんみ:あのネタは濱野の脳内にあることですね。 濱野:表面ではなく、核を突きたい、というのはありますね。 ――コンビのネタを考えるのは濱野さんですけど、へんみさんは『R-1』で2年連続準決勝進出ということで、お互いネタを考えられるのがすごいなと。 へんみ:これは声を大にして言いたいですが、僕のピンネタに関していうと、濱野は何も考えてないです! 濱野:いや、あれはたまたま目の前に落ちているネタを拾っただけ。 へんみ:なんだよそれ! 目の前に落ちてるって意味わからなくないですか? 濱野:人間、27~8年も生きてれば、1つくらいは良いネタが目の前に落ちてるんですよ。 へんみ:じゃあ、お前もネタを拾って、俺を『キングオブコント』の決勝に連れて行けよ! 濱野:お前は何もやってないからこそ、見つけることができるんだよ! 誰でも拾えるわけじゃないの! へんみ:ここだとばかりに矢継ぎ早に話してくるんじゃないよ! どこで息を吹き返してるんだよ! ◇バイトを辞めてお笑いだけで食べていきたい ――個人的には、ハマノとヘンミは結成から、ここまで良い軌跡を辿っていると思っているんですけど、転機になったポイントはありますか? 濱野:いやいや、自分たちとしてはずっと燻ってる感じです。養成所で出会って、6年続いているコンビって周りにあまりいないんですよ。一歩一歩、進んでいくなかで、昨年の『UNDER5 AWARD』で、やっと賞レースの決勝に進出できた。 ダークホースともて囃されたんですけど、何もできずに終わったのは悔しかった。名前を知っていただいたという側面はありますけど、やっぱり勝ちたかったです。同期の金魚番長ともっとやり合いたかった。 へんみ:芸歴2年目で誘われて、ユニットライブを他事務所のメンバーとやることになって、そこにいたのが吉本の金魚番長でした。バトルライブの1位はいつも彼ら。僕らがやっと1位になったときも、同率で金魚番長だったんです。 そのライブは1年で終わって、コロナ禍がやってきて、それが明けて『UNDER5 AWARD』が始まって、全てをかっさらっていったのが金魚番長。彼らは『マイナビLaughter Night』も優勝して、『ABCお笑いグランプリ』も決勝進出。差を感じましたね。 ――金魚番長と同じ土俵に立てるのは、『ABCお笑いグランプリ』になるんですかね? へんみ:そうですね。あとは、来年以降の『ツギクル芸人グランプリ』か。濱野がこれから漫才をすると言ったら『M-1』でも戦えますけど。 濱野:『M-1』で倒したらカッコいいよね! ――同世代でライバル視するのは、やはり金魚番長ですか? へんみ:はい。あとは人力舎にバローズというコンビがいるんですけど、そこが同期でライバルですかね。 濱野:僕らと同じく、バローズも人気がないので! へんみ:やめろよ! バローズも2年目から『キングオブコント』の準々決勝に連続で出ていて、一緒に毎月ライブもやっているんです。それこそ、金魚番長とやっていたユニットライブにもバローズがいましたし、その頃からお客さんの票を取ってました。 濱野:ただ、人気がないので! へんみ:しつこいな! ――(笑)。そう言いつつも、同世代で切磋琢磨できているということですよね。今後の目標や展望について教えていただけますか? 濱野:やっぱり、『キングオブコント』の決勝に行きたい。まずは準決勝に行かないと! とは、ずっと思っていたんですけど、周りから「“決勝に行きたい”と言っておいたほうがいいよ」と言われたので、「決勝に行く!」とここで明言します。まずはどんな形でも、バイトを辞めてお笑いだけで生活できるようになりたい。 へんみ:僕はテレビっ子だったので、ずっとテレビにすがっていたいです。将来的には『あぶない刑事』に出てみたいですし、バラエティーはもちろん、ドラマにも出てみたい。太田プロに入ったからにはダチョウさんのように、テレビでリアクションを取ったり、ドッキリにもかけられたいんですが、この世界には志村さんに憧れて入ったので、最終目標はテレビでしかできないコントをやりたいです! (取材:笹谷 淳介)
NewsCrunch編集部