主婦年金が廃止されたら「年15万円」も負担が増える!?【政府で検討中の年金改革案】
昨年に政府が「主婦(主夫)年金の見直しの必要性」について言及したことから、主婦年金の廃止が噂されています。 【写真2枚】専業主婦世帯と共働き世帯の推移表 時代の変化とともに、主婦年金(第3号被保険者制度)の見直しや廃止を求める声が多くなってきていますが、実際に主婦年金が廃止されたら「誰にどのような影響」があるのでしょうか。 本記事では、主婦年金の概要や廃止が検討されている背景、廃止後の負担について紹介していきます。 主婦年金は「早ければ2025年にも廃止がされるのではないか」といった憶測もあるため、今のうちから自身に影響があるのか確認しておけると良いでしょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそも主婦年金とは?
主婦年金とは、国民年金の1つである「第3号被保険者」のことを指します。 日本の公的年金には「厚生年金」と「国民年金」の2種類が存在し、厚生年金は主に会社員や公務員が対象なのに対して、国民年金は20~60歳未満全員が加入対象です。 国民年金は第1号~第3号被保険者の3種類があり、今回紹介する「第3号被保険者」は、第2被保険者に扶養されている配偶者で、年収が原則130万円未満の人が対象となります。 つまり、専業主婦(主夫)やパートで年収調整をしながら働く人は「第3号被保険者」に該当し、保険料の負担をせず将来国民年金を受け取れます。 そんな主婦年金ですが、現代の社会変化に伴い廃止や見直しの議論が加速しつつあります。 では具体的に、主婦年金の廃止の検討がされている背景にはどのような理由があるのでしょうか。 次章にて詳しく解説していきます。
主婦年金の廃止が検討されている背景
専業主婦やパート主婦などが対象となる「主婦年金(第3号被保険者制度)」ですが、なぜ廃止が検討されているのでしょうか。 結論からお伝えすると、現代のライフスタイルや働き方が一昔前と比べて変化していることが背景として考えられます。 第3号被保険者制度は1986年に制定されたものですが、制定から現在までで世帯のライフスタイルや働き方が大きく変化しています。 実際に、厚生労働省の「令和5年版厚生労働白書」によると、専業主婦世帯と共働き世帯の割合が1980年代と2020年代では逆転していることがわかります。 1980年では専業主婦世帯が「1114万世帯」で共働き世帯は「614万世帯」であるのに対して、2022年はその数が逆転し、専業主婦世帯は「539万世帯」、共働き世帯は「1262万世帯」となっています。 主婦年金が制定された時代は対象となる人が多かった一方で、現代では対象とならない人が増加しつつあることから、「不公平では」という意見も聞かれるようになりました。 また、パートで働いている人の場合は、年金を含む社会保険料の負担を減らそうと、扶養の範囲内でおさめる「年収の壁」を意識して働き控えをする人が多く、結果的に人手不足につながっています。 上記のことから、「主婦年金は働き控えの要因になっているのでは」というマイナス面が注目されるようになり、議論が続いているのが現状です。 ●主婦年金はいつ廃止される? 主婦年金(第3号被保険者制度)の廃止は現在もなお議論されており明確な日程は決定していませんが、早ければ2025年には廃止される可能性があるとされています。 2025年には、ベビーブームが起きた団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、労働人口が不足したり、社会保障の負担額が大きくなったりなどの懸念がされています。 さらに、団塊ジュニア世代においても現在50歳代であり、老後をまもなく迎えようとしています。 このような背景から、より多くの社会保険料を徴収する必要が出てきており、そのタイミングの1つとして2025年が主婦年金廃止の目安になるのではないかと噂されています。 主婦年金の廃止が現実となれば、第2号被保険者(会社員や公務員)に扶養されている配偶者も保険料を納める必要が出てきます。 現状の保険料を納めていない状態と、納める必要が出てきた時で、受け取れる国民年金は変わらないため、該当者にとっては大きな負担となるでしょう。 では、主婦年金が廃止されたら、どのくらいの負担が増えるのでしょうか。 次章にて主婦年金廃止の負担額を見ていきましょう。