久保だけ取材禁止…見かねた17歳対応に驚き「気を遣える」 思わず疑った“8年前の振る舞い”【コラム】
長友「似たものを感じますね」…菅原と姿を重ね合わせたベテラン
そこで、筆者が「彼は長友君の後継者になれるのでは?」と水を向けると、「由勢、頑張ってほしいですね。僕の後継者っていうのはなかなか簡単ではないですよ。こんなぶっ飛んでいて癖のあるやつはなかなかいないので」と笑顔で釘を刺しつつ、「彼は自分に似たものを感じますね」と認めるような発言をしたのである。 実際、今のチームを見渡すと、長友の後継者になりそうな資質を持つのは確かに菅原しかいない。まずSB・WBというポジションが同じだし、性格的にも常に明るく前向きで社交的、かつコミュニケーション力が高い。菅原がいるだけで周りが笑顔になる。そんな人間性も大先輩と共通しているのだ。 菅原のそういったキャラクターは、森山佳郎監督(現ベガルタ仙台)の下でU-15日本代表に抜擢された頃から全く変わっていない。忘れもしないのが、2016年9月のU-16アジア選手権(インド)での立ち振る舞いだ。 当時のチームには谷晃生(町田)、瀬古歩夢(グラスホッパー)、中村敬斗、久保建英(レアル・ソシエダ)という現在のA代表メンバーもいたのだが、バルセロナ帰りの久保の注目度があまりにも高く、森山監督もJFAスタッフもナーバスになっていた。そこでとられたのが、練習取材は久保だけ禁止、試合後も短時間のみという異例の対応。数少ない取材陣は大いに困惑していた。 そんな我々の様子を察して、事あるごとにやってきてはユーモア交えて話をしてくれたのが、菅原だった。試合後には試合分析やチームの収穫や課題などを的確に説明し、相手が年齢の離れた大人でも全く動じない様子を見せつけた。その社交性とオープンマインドには驚かされるばかりだった。長友もかつて「世界コミュニケーション選手権があったら優勝できる」と冗談交じり語っていたが、決勝戦は長友対菅原になってもおかしくないくらいだろう。 2年後の2018年春。Jリーグデビューした頃にインドでの対応を感謝すると「全然、大丈夫ですよ。あの時は大変でしたね」と菅原は逆にこちらを労ってくれて、「17歳の高校生がここまで気を遣えるのか」と驚かされた記憶がある。それをサラッとやってしまうから、彼は誰からも愛されるのだ。 だからと言って、厳しさや激しさ、毅然とした対応がないわけではない。2019年夏から6シーズンも欧州でしのぎを削っていれば、時には意見のぶつかり合いやバトルもあったはず。そんな経験から、日本代表でも必要があれば強気の発言ができるはず。そういう骨のあるところも長友に相通じるものがある。