「移民」や「LGBTQ+」日本に迫りくる“多様性の波”…「多国籍国家」台湾から学ぶ共存するための秘訣
カラフルな文化をお手本にする
それよりも私が重視しているのは、文化横断主義的な考え方です。他の文化にオープンに接し、彼ら本来の文化の考え方にもオープンに接することです。 また、台湾には多様性があり、さまざまな文化が身近にあるというのは大いに勇気づけられる点です。 自国に多様性が存在する、それゆえに私たちLGBTQ+コミュニティが自分たちの文化や価値観をつくり上げようというとき、「どこかに参考になる社会構成やモデルがないか?」とわざわざ他の国まで探しにいく必要はありません。自分の国にいながらにして、多様なモデルを見ることができます。 また、いかに優れたものだとしても、“唯一のお手本”にあまりに依存してしまうと、一つの文化に偏ったことによる弊害が生じます。その点、お手本がいくつもあれば、その過ちを避けることができるのです。 私たちのお手本となる文化は、実にカラフルで豊かです。 昔から、ジェンダーに関係なくリーダーを選んできた台湾原住民が存在するように、この国がごく初期にもった文化は、「社会がどのようにあるべきか」と考える際に、いかなる制約も課していなかったのですから。 『台湾は「多様性国家」なのに対立が起こらない…⁉その裏に隠された「地政学的」な理由』へ続く
語り)オードリー・タン