「低偏差値校→難関大」合格に導いた先生の教え。ほかの先生に理解されない中、受験指導続ける
■子供たちに成功体験を与える 有田先生は現在も、ほぼ毎日生徒に無償で英語を教え続けています。平日は授業が15時に終わってから数時間、そして土日にも勉強会を行うこともあります。 普通の進学校の生徒でも4~5時間の授業を受け続けるのは大変なのに、ましてこの学校の生徒たちの学力は偏差値40台。どうして生徒たちは、有田先生の授業を飽きずに熱心に聞き続けることができるのでしょうか。 その理由は、自己肯定感が上がる有田先生の持つ言葉の力にありました。
「勉強会」に参加して早稲田大学に合格した、現役大学生の太田さん(仮名)も、進学校に合格できず、この高校に入学した1人です。 また、青山学院大学に合格した地井さん(仮名)も、最初は「自分に大学進学は無理だ」と思った1人。進路面談で有田先生に「専門学校に進学したい」と伝えたところ「違うな。本当は、君は大学に行きたいだろう?」と言われ、自分の中の気持ちに気づきました。 太田さんや地井さんは、「難関大学に行きたい」という思いを抱いて、勉強会に参加することに決めますが、今までにしたことのない勉強量だったと語ります。
学校の通常の授業では、1年生の定期試験で『英単語ターゲット1900』を用いた英単語のテストが行われますが、その範囲は200語程度。1年間で1900個の単語までは覚えられないカリキュラムです。 しかし有田先生は、1年生からでも3年生からでも、勉強会に入ると決めた生徒全員に試験の10倍の量である『英単語ターゲット1900』の全単語を1カ月で2~3周させてすべて覚えさせ、そのうえでテストを実施しました。
あまり勉強をしたことのない人にとっては、無謀な課題に思えるかもしれませんが、実際に太田さんと地井さんはその1900語の暗記をやり抜きました。 彼らはその成功体験を通して、自分が「やればできる人間だ」と気づくことができ、受験勉強をするうえで大きな自信になったと当時を振り返ります。 今までほぼ勉強をしたことのない生徒たちはなぜ、進学校を凌駕するほどの勉強をこなせるようになったのでしょうか。生徒たちや、同僚の先生に理由を聞いたところ、有田先生自身が持つ生徒をやる気にさせる声掛けの力が大きいようです。