東京のバリアフリーは世界トップクラス......あの点が改善されればさらに素晴らしくなる
■フランス人の態度は変わり始めた
ただ、点字ブロックなどほとんどないパリでどう生活できるのかと彼女に聞いたら、少し驚いた答えが返ってきた。複数の障害者が主人公である話題の映画『Un p'tit truc en plus(ちょっとしたプラスアルファのこと)』(アールタス監督)やパラリンピックについての報道のおかげで、最近は障害者に対する社会の目が変わったという。駅やお店、公共施設で障害者に優しい態度を示す人々が増えてきた。 「以前は嫌な顔をされたり、『大変だ、障害者が来た。どうしよう』みたいな対応が普通だったが、今はすぐに案内やお手伝いをしてくれる」と、彼女は説明した。街の不便さはあるが、人の心が優しくなった。 東京では逆に、設備がいいので障害者の自立モビリティーが可能になっている半面、社会の目はいまだに厳しいのではないかと思う。若者がスマートフォンの画面ばかり見ていてお年寄りや身体の不自由な人に優先席を譲らない、車椅子の人が困っていても無視される、そういった場面はまだ多い。既に素晴らしいハード面があるのだから、ぜひソフト面(社会の優しさ)も改善してほしい。 西村カリン KARYN NISHIMURA 1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『フランス人記者、日本の学校に驚く』など。Twitter:@karyn_nishi
西村カリン(ジャーナリスト)