東海大熊本星翔が決勝進出、熊本国府との大激戦はPK決着
[11.9 選手権熊本県予選準決勝 熊本国府高 0-0(PK3-5)東海大熊本星翔高 水前寺] 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 第103回全国高校サッカー選手権・熊本県予選の準決勝が9日に水前寺競技場で行われ、第2試合は、東海大熊本星翔高がPK戦の末に熊本国府高を下し、決勝進出を決めた。 互いに一歩も引かない激戦だった。東海大熊本星翔は、前半6分にチームの大黒柱であり、主将でもあるMF中村勇心(3年)が負傷で交代となるアクシデントが発生。それでも、右DF芋生駿汰郎(3年)が中盤の中央に入り込んで布陣を変形させながらビルドアップするポゼッションで主導権を掌握した。 レフティーの右MF岡本佳緯(3年)が起点を作り、左MF丸野陽(3年)が前進のアクションを生み出した。ただし、攻撃のテンポは上がらなかった。岡本は「最初は敵陣に(ロングパスを)蹴ろうと言っていたけど、クリアが小さくなったり、相手の(FW、MF、DFの)ワンラインを越えなかったりして、セカンドボールを拾われて反撃された」と苦々しい表情で序盤を振り返った。中村がいきなり交代となったことで、チーム全体が落ち着きを欠いた印象もあったという。実際に、ゴール前の崩しは、相手の粘りを破れなかった。 一方、熊本国府は実直なプレッシングと、ブロック&カウンターでスピーディーな展開を披露。前半21分には中盤でボールを奪ったMF古川慎恩(3年)が左サイドにドリブルで流れて相手を引き付けると、自身が空けたスペースへ浮き球のパスを供給。位置を入れ替わった左MF中村祐心(3年)を経由してボールを受けた左DF新屋颯波(3年)が惜しいシュートを放つ決定機を生み出した。 前半32分には、ショートカウンターで熊本国府にチャンス。前半37分には、MF古川のミドルシュートのこぼれ球を右DF井手口幸聖(3年)が鋭角からゴールへたたき込むかと思われたが、ファーサイドのポストに嫌われた。東海大熊本星翔のポゼッションと、熊本国府のカウンター。前半は、少しずつ後者に試合のペースが傾く内容だった。 後半の立ち上がりも、熊本国府のペースだった。DF松影千ノ介(3年)のロングスローなどで押し込み、後半4分には、左からのクロスを主将のMF松元海斗(3年)が合わせ、シュートがクロスバーに当たる決定機があった。 しかし、東海大熊本星翔は、後半から投入されたMF上田叡汰(2年)がドリブルによる押し返しで少しずつペースを奪還。後半16分、左サイドのDF、MFを同時に入れ替えると、左MFに入った宮田明空(2年)が得意のドリブルで何度もサイドアタックを繰り返し、敵陣を脅かした。 一方、熊本国府は押し込まれても動じず、後半24分にカウンター返しで応戦したり、後半28分にはGK竹馬奈玖(3年)のロングキック一発で相手の背後を取り、右MF岩崎祷真(3年)が鋭角から豪快にシュートを狙う一幕もあった。 最後の決定機が訪れたのは、後半40+1分。東海大熊本星翔は、右サイドを崩し、DF芋生のラストパスからフリーになっていた途中出場のMF富澤克基(3年)がボレーシュートを放ったが、ゴールの枠を捉えなかった。結局、前後半の80分ではゴールは生まれず、延長戦も両者が互角の攻め合いを展開した中から得点が生まれなかった。 PK戦は、後攻となった熊本国府が3番手で失敗。5人全員が決めた東海大熊本星翔がPK戦5-3で決勝行きの切符をつかんだ。決勝戦は、11月16日に水前寺競技場で行われる。東海大熊本星翔は、4年連続21回目の優勝を狙う大津と対戦。負傷した中村の回復具合が気がかりだが、就任4年目の西岡大志監督は、大津を相手に主導権を握りに行くつもりかと問われると「僕は、そのつもりでいる。僕が来てから、選手には、ずっと、自信を持ってプレーしてほしいと言っている」と真っ向勝負を宣言した。プレミアリーグWEST首位の相手にも臆せず、積み上げたサッカーをぶつけられるか。全国切符をかけた一戦に挑む。 (取材・文 平野貴也)