なぜCX-80は「魂動デザインと少し違う」と言われるのか? ヒントは海外向け「CX-9/CX-90」との関係性に
とはいえ、ボディサイドはサイドシルからリアフェンダーにかけて、斜めに立ち上がるラインが控えめに仕込まれており、サイドウインドウを囲むモールをリアクォーターで太くしたことと合わせて、後輪まわりに力感を与えている。とりわけ後者は、書道の筆づかいをも思わせる、日本らしいデザインだといえるだろう。 フロントマスクはCX-60とほぼ同じで、グリルをハニカムから縦基調に変え、左寄りの3本をシルバーにすることで差別化を図っている。たしかに異なる雰囲気を演出してはいるが、もう少し違いがほしかったと思う人もいるだろう。
リアまわりでは、3列シートとなったことに合わせて、リアウインドウのサイドへの回り込みを控えめにしていることが、CX-60と大きく異なる。 それ以外にも、ナンバープレート周辺やバンパーの造形を変えており、フロントよりも差別化を図っている印象だ。 ■アル/ヴェルもライバルになりうるだけに インテリアは基本的にCX-60と同じであり、シートが1列増えたというぐらいの違いでしかない。つまり、同じ車種の2列シート仕様と3列シート仕様という見方もできる。
CX-60のインテリアが好評だったのはわかるが、ミニバンに近い使われ方が多くなりそうなので、カラーコーディネートやシートマテリアルなど、仕立ての面でCX-60との違いを出してもよかったと思う。 というのも、CX-80はトヨタ「ランドクルーザー250」をはじめとした同クラスのSUVだけでなく、ラージサイズのミニバン、つまりトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のような車種に近い立ち位置にあるからだ。
もちろん、キャビンの広さはミニバンのほうが上だ。でも、ラージクラスの3列シートという点は同じであり、よりアクティブでクリエイティブなライフスタイルを演出できるのは、CX-80のほうだろう。 マツダはCX-8を出すにあたり、それまで生産していたミニバンの「プレマシー」などを生産中止にした。その考えはCX-80にも受け継がれているはず。であれば、過度に躍動感を強調したデザインより、重厚感を前面に押し出したほうが、ふさわしいのではないだろうか。
【写真】質感高い内装にも注目! 「CX-80」のデザイン(70枚以上)
森口 将之 :モビリティジャーナリスト