【菊花賞】トラックバイアスから分かる「買ってはいけない馬」「買うべき馬」/セントライト記念編
[GⅠ菊花賞=2024年10月20日(日曜)3歳、京都競馬場・芝外3000メートル] 内が伸びる芝、外差しが決まる芝…。馬場はまるで生き物かのように、日々変化する。そこから生じる馬場の傾向が「トラックバイアス」。朝から芝に足を踏み入れてコンディションを確かめるジョッキー、調教師…。彼らはそれが競馬の勝敗に影響を与えることを分かっている。当然、予想のファクターとしても軽視すべきものではない。当欄はトラックバイアスから〝レースの真実〟を解き明かし、買うべき馬、買うべきではない馬をあぶり出すのがテーマだ。
【セントライト記念のトラックバイアス】
この日(9月16日)の中山は秋の開催が始まって2週目の3日間開催最終日。終日良馬場で競馬が行われた。前週から引き続いて使用されたコースは最内から3メートル外に内柵を設置したBコースだった。 メインのセントライト記念までに行われた当日の平地芝レースは5鞍。その1~3着馬が直線で内ラチから何頭分、外を回ったかのおよその平均値を出したのが以下のものだ。 1着馬=3・6頭目 2着馬=3・4頭目 3着馬=5・2頭目 コースは違えど、神戸新聞杯編で〝外伸び馬場〟だと伝えた9月22日・中京の1着馬=6・25頭目、2着馬=8頭目、3着馬=6・75頭目と比べれば一目瞭然。断然内有利の馬場状態だった。内が悪い時は直線、内から2、3頭分をよけて各馬が走ったりすることが多いのだが、この日の中山で最内を空けていた芝レースは一つもなかった。
【買ってはいけない馬】エコロヴァルツ
ヤマニンアドホックを途中から行かせて、2番手&内から2頭目を終始ロスなく走っていた。直線も岩田康らしく、内にこだわっての追い出し。最後にヤマニンをかわして3着食い込みとしぶとい走りを見せたが、トラックバイアスを十分に生かした好騎乗だった。実際のところ、2着コスモキュランダ、勝ったアーバンシックも直線はほぼ同じぐらいの内から2、3頭目を走って馬券になっているのだが、コスモは勝負どころで外を回るロスがあり、アーバンシックは直線この3頭では最も外を回って突き抜けており、エコロヴァルツほどのマイナス査定は必要ない。上位3頭で最も馬場の恩恵を受けたのがエコロヴァルツであり、前後5ハロン(60秒5→58秒9)の後傾ラップからも、2番手からの粘り込みは評価できるものではない。
【買うべき馬】アスクカムオンモア
勝負どころで内から4頭目ほどを進んで直線はさらに外の7、8頭目から追撃を開始して6着フィニッシュ。そこまで目立つ末脚を使ったわけではないが、伸びない外を回ってジリジリと長く脚を使っていた。前述の後傾ラップからも6、7番手からの差し込みは上方修正する必要がある。次走の2勝クラス(tvk賞)を快勝したのも当然で、展開ひとつでは菊花賞で〝大化け〟してもおかしくはない。
東スポ競馬編集部