“接触”の危険が高い「車による自転車の追い越し」車側&自転車側それぞれの注意すべきポイントを解説
TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。今回の放送のテーマは、「自動車による自転車の追い越し」について。モータリングライター・藤田竜太さんから、車が自転車を追い越す際に注意すべきポイントについて伺いました。
◆自転車と車との速度の違いを意識しよう
道路交通法で自転車は“軽車両”に分類されるため、基本的には車道を走らなくてはなりません。しかしながら、自転車と車では基本的な速度域が違うため、追い越し時に危険が生じるケースがあります。 自分の車の前を自転車が走っていて追い越しをする際に、まず確認すべきことは“自転車がそのまま直進し続ける状況かどうか”です。藤田さんは「前方に歩行者や障害物を避けるために、自転車が車道側に膨らんでくる可能性がないかをチェックしましょう。道の凹凸、段差にも気を配りたいところです。また(運転手が)ご年配の方や荷物をたくさん積んでいる、子どもと2人乗りをしている場合などは、道が真っすぐであっても急にふらつくことがあるので注意しましょう」と呼びかけます。 また、自転車に乗る人が自分の車に気付いているかどうかを推測しておくのも重要です。例えば、耳にイヤホンをしていたり、スマホを持っている場合などは、車に気付いていない可能性があるため、近づく際に細心の注意が必要になります。 車が自転車を追い越す際、大きくわけて「自転車との接触」「対向車との接触」という2つの危険が考えられます。また、自転車と並走している時間が長くなるほど事故のリスクは大きくなります。追い越しをする際は、その危険性を念頭におきつつ、まずは安全確認をしっかりおこない、見通しが良く、自分の車と自転車のあいだに安全な間隔が十分空けられる場所を選んで、対向車が来ていないタイミングで一気に追い越すのがポイントです。
◆自転車側は車の追い越しを邪魔しない行動を
続いて、自転車側の視点で車からの追い越しを考えます。後方を走ってきた車が追い越そうとしていると感じたとき、取るべき行動は何でしょうか? 道路交通法第27条には「他の車両に追いつかれた車両の義務」という項目があり、そこには“追いつかれた車両は、できる限り道路の左端に寄って進路を譲らなければならない。また、追いついた車両が当該車両の追い越しを終えるまで速度を増してはならない”と記されています。自転車側は、できる範囲で道路の左端に寄り、車が追い抜きしやすいように協力しましょう。 場合によっては、一旦停車して車を追い越させるのも1つの手です。停車中の車両であれば、その側方を通過して道路の中央線から右側にはみ出さなければ、“追い越しのための右側部分はみ出し禁止規制”の違反にならないからです。 「自転車は車道を走ることが原則ですが、安全性を優先するなら、歩行者のいないときに限り、一時的に歩道を走るのも現実的な自衛策だと考えられます」と藤田さん。車道を自転車が走るのは、道路交通法上のルールに則っての利用で正しいことですが、車、バイク、自転車などが共存するスペースなので、走行時に危険が多いのも事実です。自転車は左側走行を維持して、できるだけまっすぐ走り続けましょう。 改めて、車が自転車を追い越す際、ドライバーは安全確認をしたうえで一気に追い越し、自転車は、その追い越しを邪魔せずに自分の安全を確保しましょう。双方の配慮が接触事故の防止につながります。 (TOKYO FM「JA共済 presents なるほど!交通安全」放送より)