日本は甘いのか?八坂神社の外国人ガイドによるトラブルが示唆する、日本の通訳ガイドの問題点
■ 通訳案内士法の改正で無資格ガイドが横行 このような有資格のガイドがいるのに、どうして無資格のガイドがいるのか。 通訳案内士法が2018年1月4日に改正され、通訳案内士の資格を有さない人も、有償で外国語を用いた観光案内を行うことができるようになった。この時期は、コロナ禍前で東京オリンピックを控えて、たくさんの観光客が日本を訪れると予想されていた。日本人の多くは外国語が苦手で外国人とのコミュニケーションに問題があるかもしれないと政府は考えたようだ。そこで、ガイド不足を補う必要から、無資格でも有償でガイドができるようにしたのかもしれない。 他の思惑もあったのかもしれないが、それはよくわからない。 日本の通訳案内士になる試験には実地試験は含まれておらず、資格はとったものの実際に外国人観光客を案内するスキルが未熟なガイドも多い。そういったガイドはクレームにつながると考えられるのか、ベテランに仕事が集中し、新人のガイドはなかなか仕事にありつけない。 そんな事情がある中で、通訳案内士法が改正された。 もちろん資格をもったガイドにも一定の配慮はある。資格を有さない人は、全国通訳案内士や地域通訳案内士、又はこれに類似する名称を使用することができないとされた。具体的には、日本ガイド、地域名+ガイドなどだ。 今回問題となった男性外国人ガイドのホームページは削除されてしまっているので、彼がどのように自分の職業について説明したかはわからない。だが、もし通訳案内士に類似する名称を利用していたとしたら通訳案内士法に抵触する可能性があるだろう。ちなみに1949年に通訳案内士法(旧通訳案内業法)ができてから2018年1月4日の改正時まで、無許可のガイドの取り締まりが行われたことはない。 また、通訳案内士法が改定されたことにより、有資格の全国通訳案内士は、5年に1度、観光庁が登録した研修機関(登録研修機関)が実施する研修受講が義務となった。研修機関によって研修費は異なるものの、研修費はガイドの自腹である。 無資格のガイドには課せられない研修を受けても、仕事の受注に結び付くかどうかわからない状況では理不尽なことではないだろうか。