《元阪神球団社長が激白》岡田監督退任の「真相」となくなった“後継・鳥谷監督” 藤川新監督誕生の裏で繰り広げられた親会社と球団の主導権争い
“アレンパ”を逃した阪神の新監督に藤川球児氏(44)が就任すると発表された。その人事の背後では、親会社と球団の“暗闘”があったという──。 【完全図解】なぜ「鳥谷監督」が実現しなかったのか? 藤川新監督就任の舞台裏
10月13日、CSでDeNAに2連敗を喫した阪神の今季が終了した。 試合後にスタンドから「オカダコール」が起こるも、今季限りで退任する岡田彰布監督(66)がグラウンドに姿を現わすことはなく、待ちぼうけを食らったファンのざわつきが止まらなかった。 「ひっどいなあ、最後の最後に」──ベンチ裏で3-10の大敗をそうボヤいた岡田監督だが、苦々しいコメントを残したのは、敗北以上にもどかしい思いがあったからかもしれない。ある阪神OBが言う。 「退任の理由は表向き、年齢に配慮したとなっているが、岡田監督は球団側から強く要請があれば自身の後継者をコーチに据えて、もう1年ユニフォームを着る心構えだったという。しかし球団から打診がないどころか、功労者に認められるはずの後継指名も許されなかった。退任会見を見送ったのも無理はない」 そうしたなか、藤川氏の次期監督就任が発表された。その背景には、親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)と阪神球団の複雑な関係がある。 2006年に阪急と阪神が合併して誕生した阪急阪神HDだが、タイガース監督の任命権は親会社の阪急HDではなく子会社の阪神球団側にあった。 だが、矢野耀大氏(55)が監督を退任した2022年オフに両者の力関係が変化した。2001~2004年に阪神球団社長を務めた野崎勝義氏が語る。 「当時、球団側は次期監督に平田勝男ヘッドコーチ(65)を推したが、HD会長で阪急電鉄出身の角和夫氏の鶴の一声で岡田監督が着任しました。監督人事に阪急側が介入した初のケースとされます」
以降、角会長は同じ早大出身の岡田監督の強力な後ろ盾となった。そして岡田監督の2年契約が終わる今オフを前に、角会長には意中の後継者がいたとされる。 「鳥谷敬氏(43)です。岡田監督から鳥谷氏へと、早大閥でのバトンタッチを望んでいたといいます。角会長としては、あと1年は岡田監督に続投を頼み、その間に鳥谷氏を次期監督に育ててもらう腹づもりだったとされる」(球団職員OB) 岡田監督自身も、鳥谷氏を後継候補と考えていたと見られている。前出・野崎氏が言う。 「2003年に星野仙一さんから監督を引き継いだ岡田監督が最初のドラフトの際、8球団が競合して自由獲得枠で獲得したのが鳥谷だった。東京出身の彼が在京球団ではなく阪神を選んだのは、『ショートで使い続ける』という岡田監督との約束があったからとされます。鳥谷こそ岡田イズムを最も受け継いでいる選手だという思いがあり、禅譲を望んでいたと聞きます」