岩田剛典、物語のキーマン演じる喜び明かす「この仕事冥利に尽きる」 北村匠海との過酷な撮影裏話も<アンチヒーロー>
長谷川博己主演の日曜劇場「アンチヒーロー」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系)が現在放送中。同ドラマは、長谷川が7年ぶりに日曜劇場で主演を務める、日本の司法組織を舞台とした“逆転パラドックスエンターテインメント”。「正義の反対は、本当に悪なのだろうか」ということを視聴者に問い掛け、スピーディーな展開で次々と常識を覆していく。 【写真】北村匠海“赤峰”に問い詰められる岩田剛典“緋山” 長谷川は「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士・明墨正樹を演じ、明墨と同じ法律事務所で働く同僚弁護士・赤峰柊斗役の北村匠海、同じく同僚弁護士・紫ノ宮飛鳥役の堀田真由、パラリーガル・白木凛役の大島優子、東京地方検察庁の検察官・緑川歩佳役の木村佳乃、検事正・伊達原泰輔役の野村萬斎らが脇を固める。 このたび、WEBザテレビジョンでは、「羽木精工」の元社員で、同社長殺人容疑で起訴されたが明墨の手によって無罪となった緋山啓太役の岩田剛典にインタビューを実施。撮影で感じている思いや共演者の魅力、今後の見どころなどを聞いた。 ■「撮影終わりはみんな結構ぐったりしていますね(笑)」 ――日曜劇場への出演は初めてとなりますが、空気感はいかがですか? 緊張感のあるシーンが続く作品ですし、出演者の皆さんもいろいろな作品で重要な役どころを演じてきた方々ばかりなので、“日曜劇場だな”という感じがしています。すごく丁寧に撮影が進んでいきますし、シリアスなシーンや長回しも多い現場なので、撮影終わりはみんな結構ぐったりしていますね(笑)。 前室ではどんなに和気あいあいとしていても、シーンによってはカメラが回る前にあまり談笑している場合じゃないなと感じるピリッとした空気感にもなるので、そういうのは皆さん分かった上で、本番に向けて現場の集中力がぐっと山のように高まっていく感じがあって、そこはすごく日曜劇場らしいと感じています。 ――改めて、脚本を読んだ際の印象をお聞かせください。 本が面白いというのは、役者にとってはすごく魅力的です。撮影に入る前の段階で第8話まで台本が出来上がっていたので、どっしりとした安心感もあり、すごく信頼できる現場だなと感じました。 第8話あたりで緋山がどういう人物なのかが初めて分かるのですが、それを分からないで第1、2話の芝居をするのと、分かった上で芝居できるのとでは雲泥の差なので、そのような形で良かったです。先を計算しながら芝居することができました。 第8話で、匠海くん演じる赤峰との対話シーンがあるのですが、緋山というキャラクターを作っていく上で一番重要な人となりや過去がようやく分かるシーンになっています。 別に第1、2話は視聴者を騙そうと思って芝居はしていないのですが、そのシーンを見た上で遡っていただくと、第1、2話の感じにすごく納得していただけると思います。なので、脚本に穴がない、隙がないということですね。 ■「佇まいや目の奥の光のなさ、口調などを意識」 ――緋山啓太というキャラクターの解釈と役づくりについて教えてください。 決して根が明るい青年ではないので、佇まいや目の奥の光のなさ、口調などを意識しながら演じています。 第8話が肝になってくる部分ではあるのですが、過去に起きた出来事が緋山にとってもすごく影響していて、第1、2話の脚本ではまだ描かれ切っていない部分を、先に自分の中で整理してからクランクインのシーンに臨むことができたので、先々の脚本がある状態でこういった役柄を演じられたのはすごくありがたかったです。 また、あまりこの髪の明るさでドラマに出たこともないですし、第1、2話のゲストと見せかけて後半でまた出てくるという経験がないので、そういったキーマンの役どころは新鮮に感じています。 ――役づくりにおいて、監督とは具体的にどのようなお話をされましたか? クランクインの日に、僕が普段喋っているトーンよりもだいぶト低いトーンを求められました。それで始めてしまったので、全部通してやっています。 僕はそんなにセリフが多い役ではないので皆さんと比べたら大変とも言っていられないのですが、逆に言えば、表情だけでストーリーをつなぐ役目があるので、表情と声色は意識しました。 ■北村匠海と共に寒さをしのいだ過酷な撮影「匠海くんが優しくて…」 ――これまでの放送話の中で特に印象的だったシーンを教えてください。 やっぱり、第2話の匠海くんとの雨降らしのシーンですかね。あのときは結構寒かったのですが、山奥まで行って、クレーン車のスプリンクラーから雨を降らす演出で大掛かりな撮影だったので、すごく記憶に残っています。2人で頑張りました。 とにかく寒かったのですが、匠海くんが優しくて、カップラーメンを持ってきてくれて。外のパイプ椅子に座って2人で食べながらどうにかやり過ごしました(笑)。 また、法廷のシーンは人が多いので、非常に大変です。カット数も1シーンにつき100近いカット数で、集中力をキープするのも大変で。スタッフ、キャストを含め、チーム力が試されるような撮影が続いていますね。 ――長谷川博己さんとの共演についてお聞かせください。 明墨という役柄を演じるのは本当に大変なことなので、役柄が憑依しているかのような芝居を見ていると感服するばかりというか、本当にお見事としか言いようがないです。 僕なんかがコメントするのもおこがましいですが、本当に大変な現場で、大変な役柄だと思いますし、それをこのスケジュール感の中でやり切るという人間力の高さもはたで見ていてすごく感じます。 ――作品全体の魅力についてお聞かせください。 作品の魅力は、やっぱり重厚な脚本ですよね。本が面白いというのが作品の良し悪しを決める一番大きな要素になってくると思うので、まずはそこが盤石であることが視聴者の皆さんの満足度につながっているのかなと思います。 あとは、撮り方がすごく丁寧だと感じています。また、映像が映画のような質感で、ノアールな感じになっているのも好きですね。第2話最速試写会のときに「これ、映画館のスクリーンでいけるな」と感じました。 ――視聴者からの反響についてはどのように感じていますか? 殺人事件の犯人という役柄で、実際に罪を犯しているのかいないのかということは、第2話のラストシーンではうやむやにさせる脚本になっていたので、かなりいろいろな考察が盛り上がったかなと思います。そんな作品のキーマンを演じられて、この仕事冥利に尽きるなと実感しています。 また、この先のストーリーで予想外なことが起きたり、新たな事実が出てくると思うのですが、現状の反応を見る限りだと、このチームの作戦どおりにことが進んでいるかなという感じはしています。 ■「この先、各キャラクターが話をまたいでシンクロしていく」 ――岩田さんが思う正義とはなんですか? なんですかね…。“オンタイムで仕事を終わらせる正義”ですかね(笑)。希望かもしれない(笑)。 ――撮影中の失敗談があればお聞かせください。 この間のロケで、まだ5月ですが蚊がいて、撮影中なのに顔を刺されて腫れてきてしまって。メイクさんに迷惑をかけたというかわいい話があります。…つまらなくてすみません(笑)。 ――“追いアンチ”をする視聴者がたくさんいる中で、改めて振り返って見てほしいシーンはありますか? 何度も何度もご覧になっていただくのは物語の理解度を高める上でかなり重要で、それでも気付けないところもあると思うのですが、この先、各キャラクターが話をまたいでシンクロしていきます。 第5話で僕が再び登場したというのもそうなのですが、無理やり登場しているわけではなくて、全部がつながっていくんですよね。なおかつ、緋山の事件の裁判だけでなく、その後の裁判も全てがつながっていきます。なので、最後までご覧になっていただいた人にしか得られない満足度がある作品だと思います。 第1話の接見室のシーンがあるのですが、あれは実はかなり重要なシーンで、ただの主人公のヒーローカットではございません。まだ全ての登場人物がなんとなくしか伝わっていないと思うのですが、この先、見事にパズルが組み込まれていきますので、そこも楽しみにしてもらいたいです。