取引先が営業に本当に求めているものとは…「安くていい条件」よりもっと大事な「仕事の」真理
「あんたが来なくなると寂しいなぁ」
「そんな機械があるなんて便利な世の中だなぁ、本当にありがとう」 「じゃあ、取り付けてきますね」と店の外に向かおうとしたところ、店主からこう言われました。 「あんたが毎日来なくなると寂しいなぁ。本音を言えば、あんたのところの品は結構売れはするが、他よりも卸値は高いし、やっていることも他とさほど違いがある訳じゃない。でも、商売はそんなことで良し悪しが決まるものじゃない。大事なのはいろいろな条件をくれたりすることよりも、お店の商売のことを一緒に考えてくれて、それをやってくれることだ。あんたが毎朝来てくれる。そのことが一番なんだ」 思いもよらない店主の言葉に、嬉しいというよりも驚きが勝り、茫然と立ったままでした。そう言えばここ数ヵ月は値段がどうだとか、条件はどうしたといった話はまったくありませんでした。正直に言えば、そこまで考えてやっていた訳ではありません。小さな困りごとをなんとかできればと思っただけです。それも「朝、自販機の蛍光灯のスイッチを切る」だけのことです。 「他よりも安い金額と他よりも良い条件。これだけで仕事をするならば営業担当はいらない」 営業はよくこんなふうに言われますが、ではどんなことをすれば良いのかは誰も教えてくれません。今回のことはその回答の一部でしかないのかもしれませんが、取引先が営業に対して本当に求めているものは「他よりも良い取引条件」だけではないことを教えてくれたように思います。 『上司は「偉い」のではない…地域を統括するトップ営業マンが教える「すべての仕事に共通する」考え方』へ続く
山岡 彰彦(株式会社アクセルレイト21 代表取締役社長)