斎藤工×北山流川D×上出遼平が語る『こどもディレクター』の可能性と意義「見せたくないものにカメラを向けることで次の一歩がある」
◆この番組はナレーションがないことが特徴的だと思います。その中で、VTRを見守る斎藤さんやゲストの方の言葉が大切になってくると思うのですが、自然と言葉は出てきますか? 斎藤:僕が過剰に合いの手というか、ガヤ的なことを入れすぎず、何かしながら見ているという状態だとしても、見てくれている視聴者の方たちのノイズにならないことが優先だなと思っています。ナレーションがない代わりに、もちろん編集もそうですが、仕上げの部分をプロフェッショナルな方たちが仕上げているというところにまた特性があるのかなと思うので、テロップで誰がしゃべっているかということを伝えたいだけではなくて、なぜその文字を強調し、その言葉に意味があるのか、受け取った流川さんたちが大事にそれを仕上げているんだなと思っているので、基本的には僕らがスタジオで味付けを加えすぎないことの方が大事だなと。バラエティの収録としては逆説的な方法が成り立つというか、それしか成り立たないような番組だなと思っています。 ◆皆さん、深いお話をされているなという印象があるのですが、出演する家族の分だけトークは尽きないでしょうか? 斎藤:VTRの尺と番組の尺がほぼ一致しているので、オープニングとエンディングはほぼ使われないだろうという気軽さはあります(笑)。ただ、僕1人じゃなくて、ありがたいことにゲストの方がいてくださるので、ご自身もこどもディレクターであるというその意見をお伺いするだけでも、それは視聴者の方とのコミュニケーションにもなるのかなと思っています。既に僕から出てくるものはもう枯渇しているので、ゲストの方を頼っていきたいなと。普段、別の現場でお会いしても、このスタジオ内だからこそシンプルすぎて聞けない質問をできるというのがこの番組の特性で。VTR明けはみんなサウナの後みたいな、自分と向き合っている時間なんです。VTRを見ている時間というのは、鏡を見ている感じがあるので、それをゲストの方と共有することが、視聴者の方とつながる何かになると信じています。 ◆本編のVTRが深い分、こどもディレクターがちょっとした疑問をぶつける一問一答のVTRが最後に流れてほっこりしたのですが、斎藤さんはいかがでしたか? 斎藤:確かに番組のタイトルを聞いて多くの人がイメージする答え合わせ的なものが一問一答のところに出てくるなと思いました。でも本編を見た後なので、子供に取材されているお父さんやお母さんも「この人もこどもディレクターなんだよな」という少し分厚い目線で不思議と見ている感じはあります。このコーナーはとってもいいですよね。 北山:自分ごとで見ていただいた後に、たくさんの子供たちを見ることで、また目線が1回戻れるというか、楽になれるということで、余韻みたいなものを大事にしたいなと思って入れています。引き続き、いろんなこどもディレクターと番組ディレクターの皆さんが出会ってきてくれると思うので、それを大切にしたいです。 斎藤:それで言うと、続編も可能性としてはあるのかなと。スペシャルでもその後がありましたけど、そういう展開もこのレギュラーになったことで、さらにこどもディレクターの特性が生かせるんじゃないかなと思っているので、楽しみにしていただきたいです。