<春風を待つ―センバツ・宇治山田商>自ら考え動く姿勢を 村田監督のチーム作り 練習以外も観察眼求める /三重
宇治山田商(伊勢市)は過去に夏3回、春1回の甲子園出場を誇る伝統校だが、センバツ出場は今回、16年ぶりだ。昨夏の三重大会では準優勝の成績を残し、県内の強豪校として安定した実力を付けている。背景には、2016年に就任した村田治樹監督が重視する「自主性」が、選手に浸透してきたことがある。【原諒馬】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち グラウンドで選手が、打撃や守備の練習に打ち込んでいた。片手でティー打撃をしていた部員が、数球を打った後に考え込み、トスを出す人に細かく指示を出していた。こうした姿に村田監督は「確実に成長している」とうなずきつつ、「私から出す指示もある。自主的に考えたこととのバランスの中で、最適な答えを選手自身が探し出してほしい」と語る。 津西高(津市)の野球部出身。監督だった樋口匡伸さんとの出会いが指導者を目指したきっかけの一つだ。「生徒をやる気にさせる先生だった」といい、選手の自主性を伸ばす大切さを教わった。 では、どうすれば自主性を伸ばせるか。前任の津西野球部では、監督として独特の方針を打ち出した。3年生部員を園芸部に入部させ、学校の周囲の花壇やグラウンドで花を育ててもらった。 狙いはこうだ。きれいな花を咲かせるためには、植物を日々、観察することが欠かせない。野球では、相手のくせなど細かいところに気が付くことにつながるはずだ。 宇治山田商でも部員に、練習以外でも周囲の変化を見逃さないよう、ゴミが落ちていれば拾うくせをつけてもらう。「観察眼が考える力を育み、試合でのわずかな変化も見逃さずに対応できるようになる。細かい変化に自ら気づき、自ら行動する姿勢を身につけてほしい」と願っている。 〔三重版〕