“失恋ソングの女王”柴田淳、変化した恋愛観 結婚・出産は「人生の一つの選択肢に過ぎない」
片思いの曲が“不倫ソング”と受け取られ「恋愛のリトマス試験紙なんて言われます」
――アルバム7曲目の『透明な私』では実らぬ恋を歌詞につづっています。 「これは『不倫ソング』ですよね(笑)。この歳になると周りはだいたい既婚者なので、『恋をしたいけどできない』っていうシチュエーションは、如何様にも想像を膨らませることができるんですよね。ぶっちゃけ不倫ソングは、とっても書きやすいんです。独身の同年代の女性ファンも多いのでこういうドラマチックな曲は好まれると思います。デビュー当時、片思いの曲を書こうとその名もズバリ『片想い』という曲を書きました。ところが周りは不倫ソングと受け取った方も多かったんです。だから私の歌詞は『恋愛のリトマス試験紙』なんて言われています」 ――さまざまな恋模様を数多く書いてきた柴田さんですが、リアルな不倫問題に対して、SNSでは「結局だらしない男の言い訳なんだよ」「結婚しといて、彼女作っておいて、言い訳すんじゃねぇよ、男ども」など、怒りを込めてハッキリとNOを突きつける投稿を発信しています。 「そんな風に書いてました?(苦笑)。そもそも不倫する男性は単におバカさんだなって思います。『この人、奥さんがいるのになんで(ほかの女性に)好意を持っちゃうんだろう。残念だな~』って。独身の寂しさにつけ込んでくる人は最低ですよね。そんな人に振り向いちゃったら、いつかこっちが悪者にされちゃうんですから。たとえ両思いだったとしても『別れてきたから一緒になろう』なんて言われて、絶対ハッピーエンドは迎えられないはずです。それが、なぜか分かりますか?」 ――なぜでしょう。 「一度は添い遂げると決めた人がいながら他の人を選び直した人、となるからです。つまり、自分自身をもって、この人はまた他の人を選ぶ可能性がある人と認定できちゃうことになるからです。だから、よくファンクラブの人たちと、『自分とは関係のない問題でフリーに戻って欲しいよね』って話をするんです(苦笑)。それはただの恋愛ですから。結婚して、離婚して……私たちの間ではそういう人を『戻りガツオ』って呼んでいるんですが、男女関係なく独身のファンも多く、離婚したと聞くと、『仲間が1人戻ってきた』ってみんなでちょっとホッとしています。『おかえりなさーい!』って(笑)」 ――今みたいな話題をXに投稿して、柴田さんは、たびたびネットニュースにも取り上げられています。 「ネットメディアさんの、こたつ記事(取材現場に行かずSNSなどから情報を得て書く記事)の標的にされるのがホントに怖いです。『せいぜい20人くらいしか見ていないだろう』って感覚で書いてしまっているところがあるので、もっと色んな人が読んでいることを意識して発信しないといけないと気をつけるきっかけとなりました。毎日スマホで始まりスマホで終わる日々を過ごしているのですが、それぞれインターネットの使い方、携わり方も違いますよね。いろんなことを言われますが、それももう慣れました。なぜならそのどれもがその人の価値観からの言葉でしかないからです。私にとってネットの発信も一つの表現の一部です。それ含め、柴田淳を楽しんでいただけたらうれしいです」 □柴田淳(しばた・じゅん)1976年11月19日、東京都出身。3歳よりクラシックピアノを習い、高校でJ-POPに目覚め、歌手を目指す。2001年、シングル『ぼくの味方』でデビュー。現在までシングル19枚、オリジナルアルバム14枚、カバーアルバム2枚他、LIVE Blu-ray等をリリース。12年にリリースした初のカバーアルバム『COVER 70’s』が、全日本CDショップ店員組合『2013特別賞』を受賞。23年10月に『ETERNAL GHOST FISH-永恒机?魚-』で初舞台を踏んだ。24年3月、第47回救急救命士国家試験に合格し、救急救命士となる。シンガー・ソングライターのほか、俳優、楽曲提供、ナレーション、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動している。
福嶋剛